2013-05-09

牧村憲一『ニッポン・ポップス・クロニクル 1969-1989』(スペースシャワーネットワーク、2013年)

こういう「語り」を読むと、「ポピュラー音楽をめぐる色々なモードの変化」をびしびし感じる。
「良い音楽」を作ることだけを考える「素晴らしいミュージシャン」が集まると、お金は後からついてくるもの(だった)みたいだからだ。この前読んだいかりや長介の自伝とは大違いで、何より、最近会ったレコード・レーベルのひとから聞いた売上関連の話とは大違いだ。

基本は自分語りの思い出話なのだけど、なぜか好感をもって読んだ。「綺羅星のような、はっぴいえんど以降の日本のニュー・ミュージック」の中心で仕事をしてきた人だからかもしれないし、過去に一緒に仕事をした人たちの良い側面を十分に理解して思い出しているかもしれない。大文字の「日本の音楽」を背負おうとしていないのが好感を持てる。例えばキャロルは知らないようだ(そうそう、「ニュー・ミュージック」とは日本の場合、70年代前半に作られ始めた「新しいポップス」をさすのだった)(とはいえ、大文字の「日本の音楽」を背負おうとする本も読んでみたいところだが)。
コラム集みたいな感じなので、これは電子書籍でも良かったかもしれん。

牧村憲一 2013 『ニッポン・ポップス・クロニクル 1969-1989』 東京:スペースシャワーネットワーク。
ニッポン・ポップス・クロニクル 1969-1989 (SPACE SHOWER BOOks)
牧村憲一
4906700780

だめだこりゃ (新潮文庫)
いかりや 長介
4101092214


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