2014-07-03

南田勝也『オルタナティヴロックの社会学』(花伝社、2014年)

「90年代のロック」は”波の音楽から渦の音楽に変化していった”という図式はあんまり分からないのだけど、でも、90年代以降のロックにおいて「黒人音楽と白人音楽の乖離」が顕在化することで「…九十年代以降の新しいロックは、追い込まれた白人青年たちが駆け込む場所として、彼らの共同体意識を確認する場所として、比較的規模の小さな音楽ジャンルとして内側に閉ざされていくのである。言い方を換えれば、ロックは、すべての若者を包摂する音楽という幻想が打ち砕かれたことによって、コアな白人青年の聴衆を獲得する形で再生したのだ。」(75)という図式はとても納得できた。
納得できたというか、正確には、自分が「90年代以降のロック」にあまり興味が無い理由を与えられたようで、満足した。
個々の事例を考えると、ペイヴメントは違うんじゃないか?とか色々思ったりもするのだが、でも、第2章は絶好の「現状を俯瞰するシェーマ」(94)だと思う。

僕は常々「ポピュラー音楽史を完結に概観できる簡便な日本語の教科書」がないことを嘆いているのだが、この第2章は必須の副読テキストにすべきだなあ、と思った。

ひとつ疑問がある。
合衆国では、こういう「ロックの歴史」は、今、どのように語られているのだろうか?(この言及があまりなかった気がする。)
オルタナティブロックの社会学
南田 勝也
4763406981

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