2014-09-07

DVDでAlvin Luciers『No Ideas but in Things』(2013)


おそらく、 《独奏者のための音楽(Music for Solo Performer)》(1965)、《私は部屋の中に座っている(I'm sitting in the Room)》(1969) 、《細長いワイヤーの音楽(Music on a Long Thin Wire)》(1977)の3作が飛び抜けて有名なアルヴィン・ルシエのDVD。冒頭の鉛筆で事物の音を使うパフォーマンス?が、とても素敵。
2011年に撮影された素材で構成されたドキュメンタリーのようで、撮影場所のほとんどが北欧で、最後にウェスリアン大学の映像が少し入る。ルシエが半生を振り返るとか、作家としてのルシエ像に迫るとかではないけど、「自然の音響現象を聴き手に知覚させる」とまとめられるだろうルシエの作品の特徴――"make it available to people to hear"というフレーズや、最後のルシエの"no ideas but in things"という言い方が象徴的――がよく分かる見せ方で、面白かった。《朽人に寄り添う鳥(Bird and Person Dyning)》(1975)(この邦題、なんか違うのではなかろうか)――マイクとスピーカーのフィードバック現象を利用し、マイクを持ったパフォーマーがスピーカーの間をうろつ(き、フィードバック音が鳥の鳴き声のような音を出す場所を目指してうろつ)くパフォーマンス(2018年4月4日追記:昨日のルシエ来日公演でこの理解が間違えていることを知った。佐藤実さんや大城真さんに教えてもらったがうまく咀嚼できていないのだが、もっと知覚のメカニズムを面白く使っている作品だった。)――とか《パノラマ(Panorama)》(1993)――どこかの山脈のパノラマ写真を元にその稜線を音のカタチに変換した作品――がどういう作品か分かって面白かった。
邦題は『事物の中以外に観念なし』(正確だけど、なんかニュアンスが違う気がする。『事物のなかにこそ秘密がある』とか? これはこれで違うか)。

ボーナス映像によると、アルヴィン・ルシエは2031年まで生きるつもりらしいし、墓石には「composer」と書いておいて欲しいそうです。また、自分は「実験音楽家」ではないそうです。
僕はデヴィッド・バーマン(David Behrman)のファンなのだけど、2011年のデヴィッド・バーマンが話している映像を見たところ、とても元気そうだったので、日本に来てくれないものかなあ、と思いました(デヴィッド・バーン(David Byrne)も大好き)。

これ、良いDVDだ。
イマイチ(英語が)よく分からない部分もあったし、日本語版買おうかなあ(→後に「日本語版」なんか無いことに気づきました)。
事物の中以外に観念なし ~ 作曲家アルヴィン・ルシエ (No Ideas But in Things / The composer Alvin Lucier / A film by Viola Rusche & Hauke Harder) [DVD] [輸入盤]
B00FTGY3YY

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



Generative Music Workshop: Alvin Lucier "Music on a Long Thin Wire" from Generative Music Workshop on Vimeo.

これはちょっと違う。







《Nothing is Real》(1990)という作品がとてもステキだった。
ピアニストの高橋アキのために作った作品らしく、彼女が、あなたの作品はビートルズの《ストロベリー・フィールズ・フォーエバー》を思い出させる、つまり「nothing is real」というフレーズを思い出させる、と言ったらしく、なのでルシエは、その部分のメロディを使って、ピアノのボディとこのティーポットを使って、everything is realな作品を作ったらしい。

NO IDEAS BUT IN THINGS - The Composer Alvin Lucier - Nothing is Real





最初の方で《Sferics》(1981)や電磁波を聞こえるようにしてるんだ云々と説明しているところ、あるいは、《独奏者のための音楽(Music for Solo Performer)》(1965)を作るきっかけがケージをAnn Arborに呼んだ時にケージに言われたからだとか、Edmond Dewanと知り合っていたからだ云々という話は、Douglas Kahnの『Earth Sound Earth Signal: Energies and Earth Magnitude in the Arts』を読んでいたので何のことか分かったけど、読んでなかったら全部初耳のことなので、しばらく分からなかったろうなあ。

Earth Sound Earth Signal: Energies and Earth Magnitude in the Arts
Douglas Kahn
0520257553

0 件のコメント: