2015-01-19

メモ:大江健三郎『キルプの軍団』

久しぶりに「純文学」を読んだ。「こんな高校生がいるわけない」なんて無粋なこと言ったって仕方ない。ただ面白かった。

ディケンズ(とドストエフスキー)を読むことから生まれた小説で、物語には生き方を考えさせる強さがあることを実証する小説だった。だから、大江健三郎の小説のなかではマイナーなのかもしれないし、最初に読む一冊ではないのだろう。「許し」がどうこう、というのは、僕にはよく分からない。

読んでるうちに、自分がこの本を読みたがっていた理由を思い出した。高橋源一郎が『文学がこんなにわかっていいかしら』所収の文章のなかで、『キルプの軍団』の文章をとりあげて大江健三郎のサービス精神の素晴らしさについて語っていたのだ。高校生の頃、高橋源一郎をよく読んでいて、それで色んな日本文学を知ったのだった(必ずしも読んだわけではなかったが)(松苗あけみも高橋源一郎経由で知ったのかもしれない)(なんでアマゾンの書影に出てこないんだ?)。だから僕は、この『キルプの軍団』をそのうち読んでみよう、と思っていたのだった。高橋源一郎の文章の内容は、要するに、「細部にまで綿密に神経の行き届いているものは、世の中にはムダなものなぞ何一つない、という感覚を与えてくれる、この『キルプの軍団』のように」という内容だったと思う(ここに少しのってる)。

うちの父親は大江健三郎の新刊が出るたびに単行本で買ってすぐに読むという高校教師だったなあ。とりあえず、僕もちょくちょく読んでいくことにしよう。

キルプの軍団
大江 健三郎
4000004158

文学がこんなにわかっていいかしら (福武文庫)
高橋 源一郎
4828832416

コギト工房 大江健三郎まずはこの作品から:『キルプの軍団』へのコメントは、ほとんどない。

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