2016-02-06

Asian Meeting Festivalが面白かった、というメモ

アジアン・ミーティング・フェスティバル 2016

昨年に続き今年も、アジア各国で活躍してるミュージシャンを集めて日本を即興演奏してまわる、dj sniffとユエン・チーワイと大友良英が中心になってやってるAsian Meeting Festivaを見に行った。面白い音楽って色々あるけど、僕は今、この企画がとても面白い。なのでライブの後に出演者のひとりである香港から来たFionaにこの感動を伝えようとしたのだけど、うまく説明できなかったので、簡単にメモしておく。日本語でメモして考えをまとめておけば、そのうち英語でも説明できるようになるだろう。
とはいえまだうまく説明できない。

- - - - - - - - - - - - - - - 
まず大前提として、みんな、カッコ良い。ギター、サックス、打楽器、琴(みたいな楽器)、ターンテーブル、ガラス鉢、イスなど(最後のふたつ=最初のふたりは、ちょっと違う気がするが)。みんな、その楽器をカッコ良く見せる美味しいやり方をしっかり分かっているので、安心して、期待しながら即興演奏を見ていられる。変にダラダラしないし、フリージャズの真似ごとみたいなどこかで聞いたことのあるアレの再生産とかではないし、初めて会って数時間後でもしっかりとインタープレイしてくれるし(とはいやはり、何回か一緒に演奏した後のアンサンブルも見たい。たぶん毎回こなれていくのだと思う。面白そう)。
だから、即興演奏ファン(みたいなのがいるとして)にとって面白いことは間違いないと思う。でも、僕個人が面白がっている理由は、どうやら、「演奏の良し悪し」とは別の話だと思う。それは、僕が即興演奏についてあまり知らないことと、日本以外の状況をあまり知らないことが理由だと思う。
なので、以下、個人的なメモとして残しておく。
僕はAsian Meeting Festivaを見ていると以下の様なことを感じるので面白いのだけど、いやそれはなんか違うんじゃないか、とか、いやそれはなんか不勉強なんじゃないか、とかあると思うので、そういうことはまた適宜教えてください。僕も、もうちょっとシンプルにこなれた考え方をしたい。

1.
最初見ていると、ああ、NYのThe Issue Project RoomとかRouletteでやってても何の遜色もないなあ、いやそれどころかあそこらへんの演し物の中でも上級のものだなあ、と思う。

2.
そのうち、なんか違う、〈西洋的なもの〉の単純なヴァリエーションじゃない、と感じ始める。ギターのリフの展開の仕方とか、エアーサックス(というのかどうかは知らないけど。音をはっきり出さずに吹くアレ。運指の音とか息を吹き込む音とかよく聞こえるアレ)の入れるタイミングとか、女性ボーカルと男性ボーカルを重ね合わせる時のバランスの取り方とかが「なんか違う」という気になる。
あくまでもこれは「なんか違う」という「気になる」ってだけで、実は、単に〈ミュージシャンの個性の違い〉って言葉で説明しておけば良いのかもしれない。
でも、ここが面白い。
つまり、僕にとってAMFは、西洋と日本とアジアがどうしたこうしたとか考え出すきっかけになるところが、とても面白い。

3.
つまり僕は、Ensemble Asiaを見ると、いくつかの刺激を受ける。
僕は、自分がexperimental musicとかimprovisationを〈西洋的なもの〉を基準に見ていたことに気付く。つまり、自分が西洋中心主義的な視野で見ていたことに気付く。
僕は、自分が、〈アジア諸国のなかの日本〉みたいな視野を持っていなくて〈日本以外のアジアの国と西洋〉という関係性についてあまり考えていないことに気付く。いわば、〈日本と西洋〉という枠組みしかなくて日本以外の国はすべて世界、くらいの視野しか持っていないことに気付く。だから例えば〈日本以外のアジアの国で作られる、西洋由来のロックンロール〉にほとんど注意を払ってこなかったことに気付く。つまり、自分が自民族中心主義的な視野で見ていたことに気付く。
〈アジアの色々な国同士が並んでいる様子〉はなんだかとても面白いことに気付く。顔付きとかはみんななんとなく似ているし服装も使っている楽器もみんなけっこう似ているけど、出てくる音が少しずつなんとなく違うことに気付く。あるいは、何となく違うような気がする。
〈アジアの色々な国と西洋〉との力学は面白いことに気付く。
等々
こういうことに気付き、自分のものの見方を見直すきっかけになるので、面白い。で、色々と考えなから次から次へと音が移り変わっていくのを聴くわけである。こういうのはとてもエキサイティングな経験だ。

4.
この面白がり方は、日本で生まれ育って今もこれからも日本で生活していくつもりの僕だからするような面白がり方なのではないかと思う。世界中飛び回っている恩田晃さんなんかはどう思ったんだろう。あるいは、客席にけっこういた、日本在住のアジア人やヨーロッパ人にはどう見えたんだろう。あるいは、こんな面倒くさいこと考えずに、音の面白さだけを堪能したひとは、どんな感じで楽しんだのだろう。
知りたいところだ。

5.
別件のメモ。
演奏前にタクローくんに〈即興演奏家はみんな逆上がりができない〉という説を聞いた。その時はなんかイマイチ分からなかったが、ライブ見ている間になんとなく腑に落ちた。確かにみんな、バイク盗んだり校舎の窓ガラス破ったり、体育会系の不良っぽい感じではないのかもなあ、と思った。










0 件のコメント: