2018-10-23

メモ:田中克彦『ことばと国家』(岩波新書、1981年)

大友良英『学校で教えてくれない音楽』の後書きで、なんとなく唐突にこの新書のことに触れていたのに興味をひかれ、読んだ。「言語学」という学問領域のエッセンスを簡潔にとりだす文章だった。
〈ラテン語とヨーロッパ諸言語との関係(近代化のなかで、ヨーロッパ諸言語は自らの理論的優位さを誇示した)〉は〈漢文と俗語としての日本語との関係(近代文章作法などで、日本語よりも漢文の理論的優位さが主張されることが多い)〉とは逆である、とか。「国語」というのがあくまでも近代国家成立以後の言語観の産物だ、とか。言われてみれば当たり前なのだけど、あんまり考えたことがなかった考え方が多く、新鮮だった。40年近く前の本だし、僕が不勉強なのだろうけど。
言語学がもつ歴史的社会的視野の広さを教えてくれる本だった。自分の専門分野に熟達するとはこういうことなのだろう。


(この本における「言語学」に相当するような僕の「専門分野」って何だろう。)

2018-10-16

隠岐さや香『文系と理系はなぜ分かれたのか』(星海社新書、2018年)


隠岐さや香『文系と理系はなぜ分かれたのか』(星海社新書、2018.年)
「なぜ」かは分からなかったけど、分かれたのは19世紀以降だし、理系は儲かるというイメージの始まりは20世紀後半からだ、など、歴史の勉強になった。
コメント
山本 泰生 読んでみます
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中川 克志 知らないことばかりだったので勉強になりました。新書と思うと、かなり骨太な内容でしたが
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山本 泰生 中川 克志 僕も勉強しませんと。、
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Nobuhiro Shiihara 昨夜 上野の駅ナカの本屋で手にとってみたが購入せず 18世紀学会の人だよねえ的な関心からの
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中川 克志 ご本人に面識はないんですが、2016年に東京芸大でやっていたカルチュラルタイフーンで、「野生のクィアアニメ研究者」としておそ松さんについて話してたんですよ。なんか、もう、すごかった。ちゃんとした研究者の余技って、すごいな、と。今年の美学会のなんとかエイトの発表なんかとは段違いでした。
cultural-typhoon.com/2016/program/pamphlet/
パネル56です。

ご本人の本職の仕事を読むのは実はこれが初めて。
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Nobuhiro Shiihara この台風 全く知らなかった 状況の多様性はわかるけど その後どうなのよ mさんやりたかったのか やらされたのか?
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中川 克志 どのことすか?
とりあえず僕はボチボチやってますよ。カルタイにハマるわけでもなし、美学会にハマるわけでもなし、勤務先でも隅っこにいるし、というのが僕にはちょうど良い感じ。頑張ってちゃんと論文と本を書かないとな、と思ってるところですわ。
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Nobuhiro Shiihara 台風の発表者の多様性が気になったんだけど 芸大がこんなこと出来るようになったのは 政治的になったからだと思っただけの花
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中川 克志 そういや確かに、毛利さんが来て、激変したことでしょうなあ。外部からしたら、面白そうで良いことですわ。
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