2018年12月8日土曜日

メモ:アラン・コルバン『静寂と沈黙の歴史』(藤原書店、2018年)

原著は2016年。邦訳の本文は182ページ。
訳者によれば、原著タイトルはhistoire du silenceだが、欧語のsilenceには、静かであること(音やざわめきがないこと)(=静寂)と、音や言葉を発さないこと(音が発されていないこと)(=沈黙)という二つの意味があるので、日本語タイトルはこうなっている。
中川が想像するに、『サイレンスの歴史』としなかったのは、日本語の「サイレンス」には余計なニュアンスがこびりついているからだろうか?!
目次は以下の通り。最初の二章は「静寂」について、残りは「沈黙」について語っているかのようだが、明確に区分されているわけではない。

前奏曲
場所がそなえる静寂と安らぎ
自然の静寂
沈黙の探求
沈黙の学習と規律
間奏曲
沈黙の言葉
沈黙という戦略
愛の沈黙から憎悪の沈黙へ
後奏曲ーー沈黙の悲惨

体系的に「静寂/沈黙」の使われてきた歴史や効用や効果などについて論じたというより、事例を収集提示して今後の議論を喚起するもの、といえよう。シャトーブリアンとマックス・ピカードが多く使われているように思う。悪く言えば恣意的な文献選択に基づくポエムに見えるし、包括的な概論とか即座に何かに使える理論とかではないけれど、触発的ではあろう。日本語で「静寂/沈黙」について書かれたものを集めて、大学院か専門の授業で話してみようか、と思った。

英訳で読もうとして教養主義的な固有名詞の多さに辟易して、一章しか読まなかったけど、日本語訳があるとそういうものは読み飛ばせるのでありがたい。
182ページなので、さっと読めるのはありがたい。

効用として、silenceについて語る時にケージを忘れることができる。

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