2018-02-13

メモ:ASUNA『100 キーボード - 干渉音の分布とモアレ共鳴 -@The CAVE』




中川 克志さんが写真2件を追加しました — 場所:  The CAVE
20時間前横浜市
メモ:ASUNA『100 キーボード - 干渉音の分布とモアレ共鳴 -@The CAVE』
90分のドローンのライブインスタレーションを楽しんだ。
100個以上のCASIOやYAMAHAのキーボードがあり、ASUNAさんが、それらを操作して、AとDのドローンを発する設定にしていく(=キーボードの電源を入れてAとDの鍵盤を棒切れを挟んで押し下げた状態にしておく)ライブインスタレーション。今日は120台あったそうです。
となれば、つまり、これは多音源のドローン作品として体験されるものだ。
上下数オクターブに及ぶAとDの倍音たちが聞こえる。また、倍音同士の周波数の揺れが差音として聞こえることで、リズムが生み出される。さらには、それらが壁や天井や床に反射する反射音も聞こえる。そしてまた、分かりやすい「部屋鳴り」も生じる。「部屋鳴り」というよりも、正確には、共鳴音なのだろう。なかでも、ビールサーバーからははっきりとした共鳴音が聞こえてきた。また、ハンガー掛けからも少しだけ共鳴音が聞こえた。
また、安物キーボードなので、けっこうチューニングが狂っているものが多くて、その音程のズレもかなり面白かった。
後のトークによると、今回のパフォーマンスではあまり共鳴音がなかったけど、もっと天井が高くて広いと、もっと音が回ってスゴくなるらしい。さもありなん…!
こういうタイプの音は、真剣に聴けば聴くほど、常に何か新しい体験をもたらしてくれる。鼓膜に響いてくる音と鼓膜まで届かない(ように感じられる)音とが区別できるようになったりする(というか、自分に鼓膜があったことを思い出す)。こういう音を聴くときは、あまりごちゃごちゃ考えずに、まずは、ただひたすら耳を傾けて楽しむことをオススメする。
これ、瞬時に全ての音を停止できたら、ライブインスタレーション体験としてトラウマ的に鮮やかなものとなるのではなかろうか。と思ったが、ひとつずつ電源を切っていくプロセスは、とても面白かった。干渉とモアレが徐々に薄まっていく緩やかなプロセスは。最後の数個になると、どれが鳴ってるから分からなかったりする。
かなり疲れたけどね!
こういうタイプの音を楽しむためには集中力と体力が必要なので、つまんねえなぁ、と思って眠ってしまいがちでもある。
これは楽しむためにはけっこう体力が必要だ、ということもお知らせしておきたい。
ASUNAさんは恩田あきさんの推薦らしい。恩田さん、アンテナ広いなあ。
あと、終わってから聞いてみたら、けっこう近い年齢だった。すごく若く見える! バンドやったりもしてたらしく、ここでも三沢さんは偉大だった。
面白そうなので、ファーストアルバムを入手した。どんなかなあ。

いいね!他のリアクションを見る
コメントする
コメント
Hoonida Kim 行けず、、
管理する


いいね!他のリアクションを見る
返信18時間前
中川 克志 なかなかクラクラする体験でした。
管理する


いいね!他のリアクションを見る
返信17時間前






メモ:冨士山アネット『巡礼』@YCC ヨコハマ創造都市センター



中川 克志さんが写真2件を追加しました — 場所:  YCC ヨコハマ創造都市センター
22時間前横浜市
メモ:冨士山アネット『巡礼』@YCC ヨコハマ創造都市センター
今回も面白かったです。

昨日の梅田哲也パフォーマンスに引き続き、リハーサルがテーマだった。四国で演劇するリハーサルと八十八ケ所のお遍路さん巡りの断片が重奏され変奏されていた。劇中では「ドキュメンタリー」という言い方をしていたけれど、〈自己言及が反復され続ける懐かしのポストモダンな意匠をポップにしたもの〉に僕には見えた。そして、そこらへんのことを感じつつも僕は、リズムとテンポなどを落語楽しむみたいに楽しみました。なんか、ところどころ、見事に仕掛けられたタイミングで仕掛けられたように笑ってしまった。
というメモ。

とりあえず、急いで次の場所に向かってる途中です。

いいね!他のリアクションを見る
コメントする









2018-02-11

メモ:山崎朋子『サンダカン八番娼館』

とても有名な本なので、僕があれこれいう必要はないですが。



著者の山崎朋子さんは、底辺女性史研究を志して九州の天草に出かけ、そこでひとりの老婆(おサキさん)と偶然知り合ったらしい(「底辺女性」ってすごい名称だけど、1970年代には通用していたのだろう。)。知り合ってしばらくしてから、三週間おサキさんの家に一緒に住まわせてもらって、おサキさんが「からゆきさん」としてどのような生涯を送ってきたかを聞き取り、さらには、その話の中に出てきた何人かの現状を調べてみたらしい。そうしてまとめたのが本書。
「聞き取り」といっても、話をテープレコーダーに録音できるわけでもなく、話を聞きながらノートにメモしていけるわけでもなく、聞いたことを必死に覚えて、おサキさんがいない時に手紙にメモして東京の自宅に送っておいた、というやり方で調査したらしい。
「調査」とか「研究」といっても、三週間一緒に過ごして聴いたおサキさんの生涯を、おサキさんの一人称で記述する、というやり方は、社会学的な質的調査の方法としてどうなのか云々かんぬんという議論もきっとあるだろう。

とはいえしかし、そんなことはどうでもいい。
と言わせていただきたい。
読者としてはもう、おサキさんの人生と言葉の端々に目が飛び出るほどの衝撃を覚えつつ読むしか無かった。
京都で生活していたのに、息子から天草に帰れと言われて帰り、しかし息子を恨むなんてまったくしていない云々というくだりのなんと簡潔なこと。等々。
確かにこの社会には、目をそらさずに考え続けるべき問題というものはあるのだ、と思った。



名前だけ知っていたこの本は、父親が死んだ後に実家から持ち帰ってきたのだけど、けっきょく読まなかったので、最近、自炊してPDF化してkindle fireで少し読み始めたら止まらなくなったのだった。
僕が読んだのは昭和52年出版のものなので、たぶん、ベストセラーになったものを父親が買ったものだろうか。あるいは映画を見たのだろうか。
底辺女性史の研究に多大なる貢献を果たした書籍を、とにかくにも買っておいておく、というのが、演劇活動を経て田舎の社会科の高校教師をやっていた父親らしいなと思った。
この文化資本は40数年後に次男に継承されたのだった。



今日見たどのアートよりすごかった。
そりゃ比べたって仕方ないんだけど、…[以下省略]…。

MeCA, 日本美術サウンドアーカイヴ、会田誠



    メモ:山崎朋子『サンダカン八番娼館』
    とても有名な本なので、僕があれこれいう必要はないですが。
    著者の山崎朋子さんは、底辺女性史研究を志して九州の天草に出かけ、そこでひとりの老婆(おサキさん)と偶然知り合ったらしい(「底辺女性」ってすごい名称だけど、1970年代には通用していたのだろう。)。知り合ってしばらくしてから、三週間おサキさんの家に一緒に住まわせてもらって、おサキさんが「からゆきさん」としてどのような生涯を送ってきたかを聞き取り、さらには、その話の中に出てきた何人かの現状を調べてみたらしい。そうしてまとめたのが本書。
    「聞き取り」といっても、話をテープレコーダーに録音できるわけでもなく、話を聞きながらノートにメモしていけるわけでもなく、聞いたことを必死に覚えて、おサキさんがいない時に手紙にメモして東京の自宅に送っておいた、というやり方で調査したらしい。
    「調査」とか「研究」といっても、三週間一緒に過ごして聴いたおサキさんの生涯を、おサキさんの一人称で記述する、というやり方は、社会学的な質的調査の方法としてどうなのか云々かんぬんという議論もきっとあるだろう。
    とはいえしかし、そんなことはどうでもいい。と言わせていただきたい。
    読者としてはもう、おサキさんの人生と言葉の端々に目が飛び出るほどの衝撃を覚えつつ読むしか無かった。
    京都で生活していたのに、息子から天草に帰れと言われて帰り、しかし息子を恨むなんてまったくしていない云々というくだりのなんと簡潔なこと。等々。
    確かにこの社会には、目をそらさずに考え続けるべき問題というものはあるのだ、と思った。
    名前だけ知っていたこの本は、父親が死んだ後に実家から持ち帰ってきたのだけど、けっきょく読まなかったので、最近、自炊してPDF化してkindle fireで少し読み始めたら止まらなくなったのだった。
    僕が読んだのは昭和52年出版のものなので、たぶん、ベストセラーになったものを父親が買ったものだろうか。あるいは映画を見たのだろうか。
    底辺女性史の研究に多大なる貢献を果たした書籍を、とにかくにも買っておいておく、というのが、演劇活動を経て田舎の社会科の高校教師をやっていた父親らしいなと思った。
    この文化資本は40数年後に次男に継承されたのだった。
    今日見たどのアートよりすごかった。
    そりゃ比べたって仕方ないんだけど…[以下省略]…。
    コメント
    中川 克志 やっぱ、未来を語るなら、ちゃんと人間の未来のことを考えるべきだと思うんですよ。
    管理する
    中川 克志さんが写真4件を追加しました。
    5時間前
    会田誠展「GROUND NO PLAN」
    帰る前にちょっと。
    のつもりで寄ったが、キョウイチで充実していた。人もいっぱい。
    都市をめぐる想像力の放逸な発露だった。
    日本美術サウンドアーカイブ 高見澤文雄
    Jimmy never gets tired even in the smaller window.
    コメント
    Franchesca Casauay Jimmy-chan never gives up!
    管理する
    Ryûta Koike 今日はお久しぶりでした!

    夕方、秋庭さん・椋本さん・増田さん・小池の4人で観に行ったのですが、スクリーンの映像が同じものをループで使いまわしていることにどなたかが気がついて、全員で「それはあかんやろ、ジミー!」「ジミーには少し失望だ…」「そこはもっと頑張れよ、ジミー」という容赦ないツッコミが入りました。
    管理する
    中川 克志 今日はお久しぶりでした!
    そんなもん、ループに決まっとるやないですか。マニラで展示してた時は、もっと大きなウィンドウだったんですよ。
    にしても、なんつう珍しいメンツ!
    管理する
    Ryûta Koike えええええええええ〜、やはり専門家からみるとそういうものですか!

    しかるに、こちらではひとしきりディスった後に、秋庭さんがぽそりと「ループであることを我々に見透かされるところまでを含めての作品なのかもしれない」の言葉で締めくくられました。
    ...もっと見る
    管理する
    中川 克志 専門家つうか、まあ、アレ全部やる意味ないだろうし。
    あれ、片端まで辿り着いたら、映像が反転するんですよ。知ってました? マニラでは時間あったから見てたんですけど、まあ、どうということもなかったですが。
    管理する
    Ryûta Koike 反転するところ、見ました見ました。僕は何か起こるかな〜、と思っていたのですが、周囲の皆さんは、あまり期待しない方がいい、という感じでやはりその通りでした(笑)
    いやまあそういうところも含めてジミーは楽しませてくれましたね( ´ ▽ ` )
    管理する
    中川 克志 なので、Jimmy never gets tiredなわけですよ。マニラでこの作品のエンジニアしてたひとが言ってた。
    管理する
    Ryûta Koike くそう、ジミーにしてやられました!
    管理する
    坂本龍一+高谷史郎作品、水の音が素敵でした。
    あと、アニメのアキラみたいにレーザー光線に撃たれてる場面の気分に浸れる作品がありました。
    コメント
    井上 嘉和 明日行こうと思ってます!
    管理する
    中川 克志 アキラとか、なんかスターな気分になる作品がありました。良いかどうかはともかく!
    管理する
    昼ごはん食べた勢いのまま、Hoonida Kimさんと、ふにださんの新作の話のあれやこれやをした。
    アツかったぜ!
    コメント
    Hoonida Kim 久しぶりに話して良かったです。
    管理する
    中川 克志 6月の個展、楽しみですね。行けそうなら僕も行きたいっす!
    管理する
    Tengal Nolasnem has talked about the perspective of WSK.
    テンガルさんがWSKについて話し終えたのであった。