2015-03-30

[報告]松本秋則さんに関する研究ノートを書きました。

My brief article / review on MATSUMOTO Akinori's installation at YOKOHAMA City Hall of last year has appeared in TOKIWADAI Journal of Human Sciences, YNU. Though this article is in Japanese, I'm proud to announce that this is the first to deal with this great bamboo sound artist and to explore one of the important developments of Sound Art in Japan in the 1980s. PDF version will appear on YNU's repository soon.
If you have the chance to come to Japan in the first half of 2015, please visit HAKONE and go to the HAKONE Open-Air Museum, where you can watch the good exhibition of MATSUMOTO Akinori. It will be fun!

2014年8月1日から10月31日まで横浜市庁舎1階で展示されていた松本秋則さんの「バンブーフォノンガーデン」をとりあげて、研究ノートを書きました。

中川克志 2015 「松本秋則作品分類試論――「松本秋則~Bamboo Phonon Garden~」をめぐって――」 横浜国立大学都市イノベーション研究院(編)『常盤台人間文化論叢』1: 92-102。

横浜国立大学都市イノベーション研究院の紀要の1号目に掲載されたので、そのうち、横浜国大のリポジトリを通じてPDFで公開されます。
お時間のある方は、箱根彫刻の森美術館に行かれると面白いと思います。8月30日まで「オトノフウケイ」という展覧会が開催されているようです。


横浜国立大学リポジトリへのリンク
Yokohama National University Repository: <研究・制作ノート>松本秋則作品分類試論: 「松本秋則 ~Bamboo Phonon Garden~」をめぐって:


2015-03-21

神戸アートビレッジセンターで『phono/graph』展

藤本由紀夫さんによる展覧会シリーズ。今回は7人(うち2人はグループ)。城一裕くんが参加している。
各々の作品ももちろんそれぞれ面白かったが、白眉は地下の一室を使ったインスタレーション。
暗い部屋には5,6枚のスクリーンが設置され、スライドプロジェクターやプロジェクターから映像が投影され、音声が再生されていた。明示的な物語的内容のないカオティックな視聴覚体験は、今の疲れた僕にはひたすら気持ちよかった。

会場では、幾つかの言語による文字テクストやレコードの溝がスライドやプロジェクターで幾つかのスクリーンに投影されていた。また、シルクスクリーンで制作されたであろう、レコードの溝をモチーフとするグラフィック作品が部屋の中央で、光る机の上に展示されていた。また、おそらくはそのテクストに基づく音響詩の朗読と、楽器ではないなんらかのメカニズムを経由して発せられた、声ではない音響が再生されていた。とはいえおそらくこの部屋は「音響詩の部屋」というわけではない。おそらくこの部屋では、「諸感覚の布置」が改めて問い直されていたのだ。

この部屋では(たいていの部屋がそうだが)、耳には「音・声」が、眼には「文字・記号・図形イメージ」が入ってくる。またこの部屋では(たいていの部屋がそうだが)、聴覚は主として耳によって(時には眼に)駆動されるし、視覚は主として眼によって(時には耳に)駆動される。そして、とりわけこの部屋では、意図的に、目を通じた聴覚の刺激、耳を通じた視覚の刺激といったある種の共感覚的な作用が探られていたように感じられた。具体的には、レコードの溝という音響を連想させる視覚的イメージを採用したり、声ではない音響(なんだったんだろう?)をうまく使うことで光の明滅の印象を変えたり、文字テクストにハイライトを付けることで言語理解の綿密さにアクセントをつけたりするわけだ。おそらく、こうした手段を通じて、phonographを題材に視覚と聴覚という知覚の布置に揺さぶりをかけようとするのが藤本由紀夫の狙いなんだと思う。

また、この部屋では、さらにはおそらく、「声や文字を通じた(言語)理解」の在り方そのものが揺さぶられていたと思った。そもそもphonograph(やその20年前のphonautograph)は、19世紀の発明当初には「自動書記装置」として「も」機能することが期待されていた。つまり、そもそもphonotographとかレコードとか音声記録機器は、音楽再生装置としてよりもむしろ、文字を記録する機械として期待されていた。そして、音や声を記録する機械が登場して以降、人間の「言葉や声を記録・記憶する行為」は大いに変質した。例えば、同じ音声が頭のなかで何度も繰り返されるといった記憶の「トポス」は、レコードが針飛びするという現象が一般的になるまでは、さほどよくあることではなかったらしい(今ではMP3のデータが壊れた場合を想起すれば良いだろうか)。つまり、音声メディアは人間の知覚の在り方を変質させたわけだ。

といったことを考えると、おそらくここでは、「声と文字の記録と理解」という人間の活動の当たり前さ加減が問い直されているのではないだろうか。つまり、「ひとは声と文字を通じて意味のある言葉をやりとりしているように思っているが、果たしてそれはどこまで当たり前のことなのか」という問いが、この展覧会には伏流しているのではないか。だからこそ、このphono/graph展では、「なんだか意味ありげなのにうまく言語化できない瞬間」がたくさんあるのではないか。レコードの溝の拡大されたシルクスクリーンや、プロジェクトされた文字の断片や、溝のないレコード盤などなど。これらは、単なる音響オブジェではなく、声と文字を問い直さんとする作家の努力の断片なのだ。
そういうことを考えながら見て、面白かった。

2015-03-14

[宣伝]3月14日(土)-18日(水)に関内さくらworksで『生成音楽ワークショップの展覧会』が行われます。

みなさま、どうぞおいでませ!

中川は横浜国立大学の音響空間スタジオの学生たちと一緒に、展示を手伝います。
トーク・セッションにも参加します(パフォーマンスには参加しません)。

追記:
各所に置いているチラシに誤字があります。3月15日は土曜日ではありません!
(間違えて(土)と記してしまいました…。)

追記:
個人的な事情で中川は全日程欠席することになりました。
申し訳ないです。僕もとても残念です。
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(どうやら、紙を綴じる方法を説明している紙の裏紙を使っているらしい)

「生成音楽ワークショップの展覧会」
会期:2015年3月14日(土)〜2014年3月18日(水)
会場:さくらWORKS〈関内〉http://sakuraworks.org/
住所:〒231-0012 横浜市中区相生町3-61 泰生ビル2F
アクセス:JR関内駅より徒歩5分、みなとみらい線馬車道駅より徒歩5分
開館時間:11:00-20:00(3月14,15日),11:00-18:00(3月16−18日)
入場料:無料
URL:https://generativemusicworkshop.wordpress.com/

開催概要

音楽家の手を離れて自動的に奏でられる音楽を「生成音楽」と呼びます。城一裕と金子智太郎による「生成音楽ワークショップ」は、装置を使った生成音楽の古典作品を再現することで、この音楽の実践のあり方を考えるプロジェクトです。2010年に始まり、これまでに11回開催された本ワークショップは展示、イヴェント、子供向けプログラム、大学講義などのかたちで、毎回異なる作品を再現してきました。「生成音楽ワークショップの展覧会(仮)」はこれまでの活動のひとつの総括として、過去の実践を紹介しながら、取りあげてきた作品のいくつかをもう一度再現、展示します。

展示構成(予定)

アルヴィン・ルシエ「細長いワイヤーの音楽」(再現)
エオリアン・ハープ
レオン・O・チュア「チュア回路」(再現)
ジョン・ケージ「失われた沈黙を求めて」(再現資料)
鳴釜

関連イヴェント

3月15日は土曜日ではありません!
①エオリアン・ハープ制作ワークショップ
日時:3月15日(日) 12時から15時
会場:さくらWORKS〈関内〉
講師:杉山紘一郎(冷泉荘管理人)
人数:10名
参加費:3000円、要事前申込み(2月中旬申込開始予定)
詳細はweb サイトをご参照下さい(申し込みフォームはweb サイトにあります)。

②トーク・セッション「生成音楽の実践を考える(仮)」
日時:3月15日(日) 夕方
会場:さくらWORKS〈関内〉
登壇者:畠中実(NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]主任学芸員)、中川克志(横浜国立大学都市イノベーション研究院准教授)、城一裕、金子智太郎
入場料:無料

③パフォーマンス
日時:3月15日(日) 夜
会場:さくらWORKS〈関内〉
出演者:堀尾寛太、杉山紘一郎、大山千尋(IAMAS)ほか
入場料:無料

お問い合わせ

中川克志(横浜国立大学都市イノベーション研究院准教授)
E-mail:katsushinakagawa (at) ynu.ac.jp

主催:生成音楽ワークショップ(城一裕+金子智太郎)
共催:YCCスクール
協力:横浜国立大学人間文化課程音響空間スタジオ(中川克志研究室)、杉山紘一郎(冷泉荘管理人)、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]

本展覧会は日本学術振興会科研費・挑戦的萌芽研究「生成音楽の体系的理解に向けた音を生み出す構造の分析」(24652029)の助成を受けたものです。
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生成音楽ワークショップの展覧会 | 神奈川県文化ポータルサイト | MAGCUL マグカル
第4回:中川克志 『生成音楽』の虜 | 神奈川県文化ポータルサイト | MAGCUL マグカル
:コラムを書かせてもらいました。

人間文化課程ウェブサイトでの宣伝
YGSCウェブサイトでの宣伝
IUIウェブサイトでの宣伝
大学ウェブサイトでの宣伝

IAMASのウェブサイト:生成音楽ワークショップの展覧会 | 情報科学芸術大学院大学 [IAMAS]

Yahooニュース:関内で「生成音楽ワークショップの展覧会」ー装置が演奏する自動作曲音楽を紹介 /神奈川(みんなの経済新聞ネットワーク) - Yahoo!ニュース

横浜経済新聞の記事:Facebook写真

2015-03-06

[宣伝]3月6日に柴田聡子とMusic Helps@吉祥寺キチム で新聞紙を叩きます。

吉祥寺キチムでのayUtokiOくんのレコ発に出る柴田さんのお手伝い。

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「NEW TELEPORTATION1+2」「恋する団地」リリースイベント
日時 : 2015年3月6日(金)
会場 : 吉祥寺キチム http://www.kichimu.la/
open/start : 19:00 / 19:30
料金 : adv¥3000+1d / door¥3500+1d
出演 : ayU tokiO / 木下美紗都と石塚周太 / 柴田聡子とMusicHelps
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僕は今回は新聞紙セットを中心に組み立てます。シンバルも使うかな?
ボンゴはたぶんまだ使えないかもなあ。
8月とはまたぜんぜん違うだろうなあ。

参考:1/25のセット:3月はどうしようかな。