2015-06-26

冨田恵一『ナイトフライ 録音芸術の作法と鑑賞法』(DU BOOKS、2014)

そして、同じく長いこと読んでなかったこっちを読み始めた。
まだ序章しか読んでないけど、これ、メチャ面白い。
スタジオ録音の経験が多少なりともあると、「録音芸術」の制作方法に関する記述がすべて分かりやすい。のだけど、そういう経験がないひとにはどうなんだろう。

高橋健太郎『スタジオの音が聴こえる』(DU BOOKS、2015)

手に入れてからしばらく寝かせておいたものだけど、録音物に対する愛情を触発する、良い本でした。
ただ、僕はいま新幹線に乗ってるし、iPhoneには1972年の録音物は入ってない。
なので、せめて、ドナルド・フェイゲンを聴きながら京都に向かうことにします。

2015-06-16

佐々木敦『ニッポンの音楽』(講談社現代新書、2014)



最後の数ページをとくに、とても面白く読んだ。
これは僕が欲しいタイプのポピュラー音楽の教科書ではないけれど(帯には「通覧」とあるが、通覧はまったくしていない)、歴史とは今後を考えるためのものだしそれゆえ「今」の地点まで語らなければいけない、という考え方に、たいへん敬服した。
はっぴいえんど、YMO、小室哲哉、中田ヤスタカにスポットライトを当て、「外」の意味の変遷を浮き上がらせることで、ひとつの物語を語る。前半はあまりピンと来なかったのだが、中田ヤスタカについて語る部分が面白かった。「オールインワン型の完成型」であり「外」を積極的に区別することに大きく意味がなくなった云々。たぶん僕がほとんど知らないからだと思う。とりあえず、中田ヤスタカの音楽を追っかけてみよう。

たしかにhistoryとはhi + storyなので「歴史」とは「(ある種の)物語」なのだけど、だからといって、物語のすべてが歴史になるわけではない。
というかそんなことより、ホントに「通覧」タイプの簡便な教科書が"必要"だと思う。批評家的精神とは最も縁遠い場所から、強くそう思う。