2024-11-10
メモ:藤原和通展、今井祝雄展
2024-11-05
メモ:永冨真梨(責任編集)、大和田俊之(監修)『カントリー・ミュージックの地殻変動──多様な物語り』(河出書房新社、2024年)
を落手しました。ありがとうございます。
「面白そうだけど、カントリーかあ…。苦手なんだよなあ…。」と思いつつ、斜め読みしましたが、これは、読みやすく、しかし、複雑な内容を単純化せずに語っている、良い本でした。インタビューも対談もちょっとした論考もディスクガイドもあって、「カントリー」に色々な方向からアプローチする(ことができると教えてくれる)。
ただし、そんな感じで学術書ではないのだけど、分かりやすさに媚びていないというか。永冨さんらしさを感じました。「永冨の語りは世界の単純化に抵抗するのだ」(『ポピュラー音楽研究』v24 (2020): 109)なあ、と。
ということで、カントリーの可塑性みたいなものを丁寧に探るこの本の趣旨とは反対かもしれないけど、とりあえず、Apple Musicの「カントリー」のプレイリストをライブラリに追加しておきました。今のところ、個人的な人生の記憶に関わるということもあり、《Take Me Home, Country Roads (Original Version)》だけが頭に残っています。
大和田さんのハリー・スミス本も楽しみですね。僕ももっと頑張るぞ。
2024-10-29
メモ:ネットフリックスで『極悪女王』
を見た。昭和の貧乏なお家の様子が懐かしく、面白く見た。プロレスには全く興味がなかったし今後もないと思うけど、最後の第5話でダンプ松本の引退試合の展開を見て、「ああ、なるほど、これは歴史改変系の物語なんだな(タランティーノの『イングロリアス・バスターズ』とか『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』みたいに)」と思って見て、それはそれでスッキリとした気持ちで楽しんだ。
で、見終えてからダンプ松本の動画を探してみたら、本当にあったことだったことを知って、ちょービックリ。あと、髪切りデスマッチの試合描写もあんまり誇張して描いていたわけではなかったっぽいことに、ビックリ。|
涙・感動!▶極悪女王Netfllix公開記念 極悪女王ダンプ松本引退試合 全日本女子プロレス栄光の日 #ダンプ松本#極悪女王#ネトフリ極悪プロレス#極悪同盟 引退試合全日本女子プロレス公式 - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=CcINtl02_38
2024-10-17
まとめ:「新しい楽器」:簡易版
半年ほど前に書いたものをまとめておきます。
単著『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』(ナカニシヤ、2023年)の宣伝を兼ねてはじめた「新しい楽器」という読み物です。togetterのまとめをリンクしておきます。2023年11月から2024年3月まで投稿していました。
「楽器」という言葉を広げよう、と思って書きました。また、旧twitter(現X)の連続ポストで、各ポストにできるだけリンクを含めるという形式の読み物を作ろう、と思って書きました。また、色々寄り道した読み物を作成してみよう、と思って書きました。
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新しい楽器:1.はじめのあいさつ - Togetter https://togetter.com/li/2258001
新しい楽器:2.吉村弘のサウンド・チューブについて - Togetter https://togetter.com/li/2258002
新しい楽器:3.ルッソロのイントナルモーリ - Togetter https://togetter.com/li/2258005
新しい楽器:4.ケージのプリペアド・ピアノ - Togetter https://togetter.com/li/2258006
新しい楽器:5.扇風機 - Togetter https://togetter.com/li/2259021
新しい楽器:6.鈴木昭男さんのアナラポス - Togetter https://togetter.com/li/2260031
新しい楽器:7.テルミン - Togetter https://togetter.com/li/2261924
新しい楽器:8.バシェの音響彫刻とジョー・ジョーンズの創作楽器 - Togetter https://togetter.com/li/2264159
新しい楽器:9.洗濯板 - Togetter https://togetter.com/li/2266417
新しい楽器:10.イントナルモーリの復元について - Togetter https://togetter.com/li/2268833
新しい楽器:11.ハリー・パーチの楽器 - Togetter https://togetter.com/li/2272011
新しい楽器:12.タワシ - Togetter https://togetter.com/li/2274842
新しい楽器:13.レコード:ミラン・ニザのBroken Music - Togetter https://togetter.com/li/2277702
新しい楽器:14.椅子 - Togetter https://togetter.com/li/2280325
新しい楽器:15.箱 - Togetter https://togetter.com/li/2282954
新しい楽器:16.ヴァイオリン - Togetter https://togetter.com/li/2293149
新しい楽器:17.ドラムセット - Togetter https://togetter.com/li/2297448
新しい楽器:18.クリスチャン・マークレー《Drumkit》(1999) - Togetter https://togetter.com/li/2301692
新しい楽器:19.メトロノーム - Togetter https://togetter.com/li/2306777
新しい楽器:20.エオリアン・ハープ - Togetter https://togetter.com/li/2311011
新しい楽器:21.共有玩具、共遊楽器 - Togetter https://togetter.com/li/2317886
新しい楽器:22.磁気テープ - Togetter https://togetter.com/li/2322200
新しい楽器:23.子どものための楽器、創造的音楽学習、こどもの城 - Togetter https://togetter.com/li/2326617
新しい楽器:24.枯葉 - Togetter https://togetter.com/li/2330689
新しい楽器:25.分子の音と細胞の音 - Togetter https://togetter.com/li/2334561
新しい楽器:26.本 - Togetter https://togetter.com/li/2338621
タグ:サウンド・アート サウンドアート アヴァンギャルド 音響芸術 実験音楽 サウンド・インスタレーション 音響彫刻 サウンド・スカルプチュア メディア・アート 現代アート
まとめ:「新しい楽器」:詳細版
半年ほど前に書いたものをまとめておきます。
単著『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』(ナカニシヤ、2023年)の宣伝を兼ねてはじめた「新しい楽器」という読み物です。togetterのまとめをリンクしておきます。2023年11月から2024年3月まで投稿していました。
「楽器」という言葉を広げよう、と思って書きました。また、旧twitter(現X)の連続ポストで、各ポストにできるだけリンクを含めるという形式の読み物を作ろう、と思って書きました。また、色々寄り道した読み物を作成してみよう、と思って書きました。
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新しい楽器:1.はじめのあいさつ - Togetter https://togetter.com/li/2258001
そろそろ単著が出ます。たぶん。『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』という本です。サウンド・アートについて、視覚美術、実験音楽、メディア・アート、サウンド・インスタレーションという四つの領域における歴史を整理した本です。ナカニシヤから近刊です。
— nakagawa (@nakagawa09) November 8, 2023
新しい楽器:2.吉村弘のサウンド・チューブについて - Togetter https://togetter.com/li/2258002
2.吉村弘のサウンド・チューブについて
— nakagawa (@nakagawa09) November 8, 2023
新しい楽器:3.ルッソロのイントナルモーリ - Togetter https://togetter.com/li/2258005
3.ルッソロのイントナルモーリ:今日はこれで。
— nakagawa (@nakagawa09) November 10, 2023
新しい楽器:4.ケージのプリペアド・ピアノ - Togetter https://togetter.com/li/2258006
4.ケージのプリペアド・ピアノ
— nakagawa (@nakagawa09) November 13, 2023
新しい楽器:5.扇風機 - Togetter https://togetter.com/li/2259021
5.扇風機:もう季節外れですが、今日は日本の音響的アヴァンギャルドにとって重要な扇風機について。
— nakagawa (@nakagawa09) November 15, 2023
新しい楽器:6.鈴木昭男さんのアナラポス - Togetter https://togetter.com/li/2260031
6.鈴木昭男さんのアナラポス:今日はアナラポスについて。「新しい楽器」の連投ポスト、来週から更新ペースを少し落とします。
— nakagawa (@nakagawa09) November 17, 2023
新しい楽器:7.テルミン - Togetter https://togetter.com/li/2261924
7.テルミン
— nakagawa (@nakagawa09) November 20, 2023
新しい楽器:8.バシェの音響彫刻とジョー・ジョーンズの創作楽器 - Togetter https://togetter.com/li/2264159
8.バシェの音響彫刻とジョー・ジョーンズの創作楽器
— nakagawa (@nakagawa09) November 24, 2023
新しい楽器:9.洗濯板 - Togetter https://togetter.com/li/2266417
9.洗濯板
— nakagawa (@nakagawa09) November 28, 2023
新しい楽器:10.イントナルモーリの復元について - Togetter https://togetter.com/li/2268833
10.ルッソロのイントナルモーリの復元:今日は以前に紹介したルッソロのイントナルモーリの復元版について。短めです。
— nakagawa (@nakagawa09) December 2, 2023
新しい楽器:11.ハリー・パーチの楽器 - Togetter https://togetter.com/li/2272011
11.ハリー・パーチの楽器:今日はハリー・パーチの楽器について。今日も簡単に。
— nakagawa (@nakagawa09) December 7, 2023
新しい楽器:12.タワシ - Togetter https://togetter.com/li/2274842
12.タワシ:今日はタワシという楽器は、扇風機のように、日本の音響的アヴァンギャルドにとって重要な楽器だ、ということを話します。
— nakagawa (@nakagawa09) December 12, 2023
新しい楽器:13.レコード:ミラン・ニザのBroken Music - Togetter https://togetter.com/li/2277702
13.レコード:ミラン・ニザのBroken Music:今日はレコードという楽器を使う作品の古典として、ミラン・ニザのBroken Musicという作品を紹介します。
— nakagawa (@nakagawa09) December 17, 2023
新しい楽器:14.椅子 - Togetter https://togetter.com/li/2280325
14.椅子:『サウンド・アートとは何か』という本の宣伝かつ次の動きとして「新しい楽器」について書いています。書店発売日は1227。よろしくお願いします。今日は椅子という楽器について。椅子は座られてこそ意味のある道具でもあるし、参加型椅子作品についても少し。https://t.co/g9VCVyVl5o
— nakagawa (@nakagawa09) December 22, 2023
新しい楽器:15.箱 - Togetter https://togetter.com/li/2282954
15.箱:『サウンド・アートとは何か』(本日書店発売! 年末年始の読書のお供にどうぞ!)の宣伝かつ次の動きとして「新しい楽器」について書いています。よろしくお願いします。今日は箱について。https://t.co/g9VCVyVl5o
— nakagawa (@nakagawa09) December 27, 2023
新しい楽器:16.ヴァイオリン - Togetter https://togetter.com/li/2293149
16.ヴァイオリン:あけましておめでとうございます。2024年も素晴らしい年になると思います。『サウンド・アートとは何か』のオンライン書店での在庫も復活したようですし、再開します。
— nakagawa (@nakagawa09) January 11, 2024
新しい楽器:17.ドラムセット - Togetter https://togetter.com/li/2297448
17.ドラムセット:今日は、色々な太鼓とシンバルを組み合わせたドラムセットという楽器について少し。
— nakagawa (@nakagawa09) January 18, 2024
新しい楽器:18.クリスチャン・マークレー《Drumkit》(1999) - Togetter https://togetter.com/li/2301692
18.クリスチャン・マークレー《Drumkit》(1999)|今日は、この楽器の作品について。リンク先の写真の真ん中のやつです。座りにくそうなドラムセットですね。|https://t.co/L9uvW0Eq7Y
— nakagawa (@nakagawa09) January 25, 2024
新しい楽器:19.メトロノーム - Togetter https://togetter.com/li/2306777
19.メトロノーム:今日はメトロノームという楽器について。メトロノームは、音色とか操作可能性のことを考えると単調な音を出す楽器でしかないですが、なんといっても健気です。ネジを巻いてテンポを設定し、動かし始めると、ネジが伸びるまで延々と同じテンポでカチカチカチカチ動いてくれます。
— nakagawa (@nakagawa09) February 2, 2024
新しい楽器:20.エオリアン・ハープ - Togetter https://togetter.com/li/2311011
20.エオリアン・ハープ:今日はエオリアン・ハープについて少し。エオリアン・ハープというものは風鈴みたいなもので、単純な楽器あるいは音具です。まずは楽器の話をする前に、エオリアン・ハープを知るきっかけになった作家を紹介します。
— nakagawa (@nakagawa09) February 9, 2024
新しい楽器:21.共有玩具、共遊楽器 - Togetter https://togetter.com/li/2317886
21.共有玩具、共遊楽器:今日は、僕はよく知らなかった楽器について。簡単楽器というか簡易型楽器というか、そんな呼び方をしたくなるけど、共有玩具とか共遊楽器という代物があるそうです。
— nakagawa (@nakagawa09) February 20, 2024
新しい楽器:22.磁気テープ - Togetter https://togetter.com/li/2322200
22.磁気テープ:こんにちは、今日は、磁気テープという楽器について。今でもカセットテープに触ったことのある学生は多く、授業でも説明しやすくて、助かります。|カセットテープ - Wikipedia https://t.co/KnaA19epjx
— nakagawa (@nakagawa09) February 27, 2024
新しい楽器:23.子どものための楽器、創造的音楽学習、こどもの城 - Togetter https://togetter.com/li/2326617
23.子どものための楽器、創造的音楽学習、こどもの城|今日は、何と呼べば良いか分からないけど、「親子で作る楽器」あるいは「子どもが制作する楽器」の話です。
— nakagawa (@nakagawa09) March 5, 2024
新しい楽器:24.枯葉 - Togetter https://togetter.com/li/2330689
24.枯葉:今日は枯葉という楽器について。そろそろ春ですが、最初にこの「新しい楽器」を書き溜めていってみようと思った頃は、まだ秋でした。枯葉と藤本由紀夫さんのお話です。
— nakagawa (@nakagawa09) March 12, 2024
新しい楽器:25.分子の音と細胞の音 - Togetter https://togetter.com/li/2334561
25.分子の音と細胞の音|今日は分子と細胞という楽器について。
— nakagawa (@nakagawa09) March 19, 2024
分子というものがあります。触ったことありませんが。あるいは、常に触っていますが。で、分子は音を出しているかもしれない、という話です。あと、細胞も音を出しているかもしれない、という話です。
新しい楽器:26.本 - Togetter https://togetter.com/li/2338621
26.本|今日は本という楽器について。本は色々な音を出しているし、楽器にもなる、という話です。この「新しい楽器」はとりあえず今日で一区切りです。
— nakagawa (@nakagawa09) March 26, 2024
タグ:サウンド・アート サウンドアート アヴァンギャルド 音響芸術 実験音楽 サウンド・インスタレーション 音響彫刻 サウンド・スカルプチュア メディア・アート 現代アート
2024-09-24
『昭和文学研究』の座談会、公開
2024-09-17
メモ:ポール.J・シルヴィア『できる研究者の論文作成メソッド』
三年前に読んで衝撃を受けたポール.J・シルヴィア『できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか』の続編、『できる研究者の論文作成メソッド』を読む。
ここまで論文作成の具体的プロセスが実践的に説明されると、「IF係数の高い雑誌に掲載する論文作成」が至上命題になっていない領域の研究者(≒人文学の研究者)には、参考にならないことが多い。でも、この本も勇気づけられる本だった。
共著論文というのは人文系はあまり多くないが、僕は今、編著を作成しているので、色々と学ぶアドバイスは多かった。共著作成時にはメールを使うべきではない、と断言できるのは、羨ましい。原著は2015年出版で翻訳は2016年出版だが、僕の周りではいまだにメールしか使わない人も多い。書籍の分担執筆や百科事典項目や書評は「やめておいた方がよい執筆」(227-)だというのは、分野が違うから、だろうか。「本」は研究成果発表の場所としてまだ大切な気がする。(でも、そういや、ここ数年でものすごく増えてきた無茶苦茶ページ数の多いhandbookの類は、こういう「やめておいた方がよい執筆」なのかもしれない。あるいは、若手研究者のとりあえずの発表場所、みたいな感じもするが。)
*
書く理由は色々ある:「学ぶために書く」、自分の考えを発見するための方策として書く、という人もいる(4)
インパクトのある論文を書くとは「その分野で交わされる会話の内容に変化をもたらそうと努力をすること」(8)
経験を積んだ研究者であれば、投稿前の段階で再投稿の計画を立てている。(29)
学習をめぐって、僕が頭の中で考えているモデルは、情報化地合いの教員としては少々風変わりかもしれない。そう、本を読むべし。(31)
ライティングの本を読むことについて:年に一冊以上は読むこと(39)
共著について:書きかけの断片についてフィードバックを求めないこと、電子メールで行わないこと、一人が下書きを全て書いてみること、コメントはオプトイン制にすること(締め切りを設定して締め切りまで返信がなければ承諾したとみなすこと)
うまくいかない時は、「最初のステップは、金輪際、厄介な研究者と一緒に共著論文を書いたりしないと誓うこと」「原稿の完成に向けて粘り強い督促作業を開始」すること、「厄介な共著者に降りてもらうよう打診すること」など
「研究者たるもの、作品一本ではなく、一連の作品群の展開を目指すべきだ」(217)
「書き終えたばかりの論文がとんでもない難産で、論文など金輪際書けそうにないという気分でいるとしても、とりあえず落ち着こう。大丈夫、書ける。」(232)
「僕らは、自分の自由になる部分などほとんどないという事態を受け入れたうえで、自分の自由になる部分、つまり自分自身の行動という部分をコントロールする必要がある。執筆にあてる時間帯を選択し、その時間が来たら机に向かって執筆を開始し、その時間が終わったら執筆をやめる。執筆をスケジュールに組み込むことは、「文章をたくさん書く人が、どうやって文章をたくさん書いているか」そのものだ。」(233)
「まずは試してみよう。週4-6時間を執筆に充てるところから始めるのがよいと思う。」(233)
「推薦の言葉」より
「ものごとをロジカルに考える習慣が身についているはずの研究者なのに、彼ら彼女らの多くが「塵も積もれば山となる」をいまだに実感していないのは驚くべきことである。」(iv)
参考:
I am alive.: メモ:ポール.J・シルヴィア『できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか』 https://after34.blogspot.com/2021/07/j.html
2024-09-03
研究会のお知らせ: ベンジャミン・ピケット「トランスーション:ヘンリー・カウ、ロック、インプロヴィゼンーション、実験音楽、サウンドアートの発展史 」
240906付記:
当日は盛況に終わりました。そういや、こういう特別講義のイベントのレポートって、どんな形で残せば良いのだろう。芸大の優秀なスタッフのおかげで映像記録はあるのだけど、テキストで残すことを考えていなかった…! でもまあ、講演用原稿とかは公開するものじゃないし、こういう講演があったことそれ自体が今後につながるのだ、と考えておけば良いのかもしれない。
Benjamin Piekutさんのお話は、前半はHenry Cowの話で、後半は最近行なっているsound art研究の話ですた。前半で、rockの実践において焦点がthe soundに変わっていったという話が印象深く、後半は、最近行なっているsound art研究におけるpractices, concepts, categoriesの話(とJing Wang, Half Sound, Half Philosophyの話)が面白かったです。来場者のほとんどはHenry Cowに関心があったのだと思うけど、僕は、sound art研究のアプローチの仕方に感心しました。あと、僕のサウンド・アート研究のアプローチをやたら褒めてくれていて、大変気分が良かったです。Benさんのsound art研究、きっちり論文化されることを期待。2,3年以内に書くみたいなことを言っていたので、期待!
特別講義の後、講義のあった階の上階で20人ほどでアフターパーティーがありました。色々なタイプの人と話して面白かったです。最後、(講演で出てきたHenry CowのDelugeではなく)Talking HeadsのPsycho Killerで、みんな踊ってた(Henry CowのTim Hodgkinsonさんも)ことをご報告しておきます。
とりあえず、作ったけど半分以上見せなかったので、せっかくなので、中川の5分トークスライド(実際は10分ほど話してしまった)を公開しておきます(これは別に秘匿しておくべきというほどのものではないので):中川_5_minutes_talk_at_Benさんイベント_ver1_240830.pdf
研究会のお知らせです。
来月9月3日(火)に東京芸大上野キャンパスで、『ヘンリーカウ:世界とは問題である』(月曜社刊、2023年)の著者ベンジャミン・ピケット氏(コーネル大学音楽学部教授)による特別講義が行われます。1960年代以降の様々な音楽文化(ヘンリー・カウ、ロック、インプロヴィゼンーション、実験音楽、サウンドアートなど)の流動的諸関係についてお話ししていただけると思います(中川の予想です)。逐次通訳あり。興味のある方はどなたでも参加できます。ぜひお越しください。定員40名なので事前登録が必要です。詳細はリンク先をご覧ください。
特別講義: ベンジャミン・ピケット「トランスーション:ヘンリー・カウ、ロック、インプロヴィゼンーション、実験音楽、サウンドアートの発展史 」 | 東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻 http://ga.geidai.ac.jp/2024/08/13/benjamin-piekut/
*
ピケット氏は1960年代以降のいわば音楽文化のエコシステム全体を研究している人です。日本ではもちろん『ヘンリーカウ:世界とは問題である』の著者として知られていますが、最初の著書ではいわゆるケージ的な実験音楽周辺の諸々を扱ったり、ジョージ・E・ルイスとともに即興演奏に関する論文集を編集したり、なぜか、Henry Flyntのインタビュー動画が蓄積されているYouTubeチャンネルを持っていたりします。その関心の一環として、近年ピケット氏はsound art(というコンセプトの出現した経緯)を調査しています。その点で中川と、「概念あるいはタームとしてのサウンド・アート」に対する関心を共有しているわけです。
講義には他にも、横川理彦さん(音楽家、After Dinnerなどに参加)も登壇されます。
よろしくお願いします。
参考:Special Talk: Professor Benjamin Piekut | 東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻 http://ga.geidai.ac.jp/en/2024/08/13/benjamin-piekut/