2019年度のICCのオープンスタジオは、すでに行ったことがあるものだったことに行ってから気付いた。
とはいえ、evalaの高解像度のレコード音楽と比較しながらいくつかのサウンドインスタレーションと無響室作品を経験できたし、白髪一雄展を見れたのは、良かった。
しかしまあ、青山とかに行くと、疲れるな。ここらへんにも住宅はあるけど、子育てしてるとどんな感じなんだろう。どこ行っても混んでるし、どこ行っても「ヨソ」から来た人がいっぱいいるし。
◯1100-1210:evalaインビジブル・シネマ「Sea,See,She ─ まだ見ぬ君へ」@スパイラルホール
一回100人くらいの映画上映会。一日4回くらいを三日間。僕は初日の最初。最初の最初だけ、天井の明かりがパッと煌めくが、その後はずっと真暗闇の中でevalaさんの音が続く。タイトルにseaとあるからか、魚の音とか水の音に聞こえる音が多かったように思う。非常灯も消してしまう真っ暗闇のなかの作品上映って、フランシスコ・ロペスとか横浜赤レンガ倉庫のコンテンポラリーダンスで経験したことがあるが、観客の誰かの腕時計のほんの些細な明かりさえも他の人の目にはキツく入ってくるので、つらかった。本人はそのことには気づきもしていなかったのでは無いかと思うが。
ともあれ、僕はそのような「暗闇の中のevala作品再生会」としてこの映画を経験していたのだが、体感で3分の2ほど過ぎたところでやっと、それまでずっと朧げに感じられていた〈目を閉じた状態で目蓋の裏に感じるもの(丹光?)〉が、僕自身の視覚的幻影のようなものではなく、映像作家が制作した映像だったことに気付いた!
びっくりした。
つまり僕は、最初の3分の2は〈A暗闇の中で再生される音だけ〉として、最後の方になってやっと〈B抽象的なイメージ+音〉として、経験した。
Aでは〈具体音と抽象音(というかシンセサイズされた電子音というか))からなるevalaの音響が、驚くほどの高解像度で、360度に配置されたスピーカーを通じて(?)、音響世界を構築できること〉に驚いた。
Bでは〈それほど自律的に聴こえていた音響が、ひとたび視覚イメージと並走するものであることに気付いた途端、僕は、視覚イメージに従属するものとして音響を聴いてしまうこと〉に驚いた。
これは、社会的にどういうタイプの音楽なのだろう。絵画におけるスーパーリアリズムに似ているのかな、と一瞬思ったけど、SHCD的なものとも全く違うし、やっぱり違うな。
CDなどで後から録音物を再体験しても、異なる経験でしか無いから、わざわざ青山まで来たかいはあった。
総じて、非常に高解像度な録音音楽を聴いて、耳がざわつく経験だった。その後、Blockhouseまで歩き、また、原宿からICCまでバスで来て、ICCの後カフェで一休みしながらこのメモを作成しているけど、まだ、ヘッドフォンをつける気にはなれない。また、BlockhouseでもICCでも、サウンドインスタレーション作品を経験したけど、evala作品の聴取経験と比べると、どれも雑だし、甘いと言わざるを得ない。
◯1300-1900:∈Y∋ "レコーン”@Blockhouse
明治神宮前駅とか原宿駅とか
evalaの後なので、西部講堂の汚さなどを思い出し、とてもほっこりした
なんで、あんな風に、レコードを素敵に汚せるのだろう。
ああいう感性は、なんなんだろう。大竹伸朗的な感性というか20年前のパチャママを思い出すというか。
◯ICCのオープンスタジオとopen possibilities
何個か見てやっと、あ、これ、一回見た、と思い出した…。
アジアの作家たちによるサウンドインスタレーション作品たちは、evalaとアイの後だと、ざっくりし過ぎていて面白くなかった。x
→上村洋一:大和田さんの化石の溶ける音を聞く作品みたいだったな。
◯白髪一雄展@東京オペラシティ
何とも安定の懐かしのアヴァンギャルドは、見ていて落ち着く。レトロだ。
この作品のポイントは、絵具が盛り上がっていること、なので、図版でもよく分からないよなあ、と再確認する。
絵具を足で広げると、人はどうしても何らかの秩序に基づいて整理したくなるものだろうから、それを我慢して、できるだけハテンコーにしようとしたのだろう、と想像した。が、いつまでも同じようなことやってて飽きなかったのかなあ、と思った。ポロックがポーリングをしていたのは10年にも満たない限られた時期だけのはずだし。
◯安野太郎 : アンリアライズド・コンポジション「イコン2020-2025」@アートフロントギャラリー(0110-0202)
中目黒駅の近く(以前、國學院の帰りにカールステン・ニコライを見に行った場所)
ふいごをガムテープで貼り付けてあったのはなんだろう。
◯アルフレッド・ジャリ『超男性』
「フランス文学」だった。
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