2013-01-28

メモ:斉田一樹+三原聡一郎《moids 2.2.1——創発する音響構造》(2009/12年)

ICCにて
面白かったのでメモ。



無響室(もう無響室じゃなくなっていたけど)の四方に、カチカチカチカチ音を立てる小さな機械が数十個配置されていて、それぞれが別々に、何かのルールに従って、音を立てたり光ったりする。どうやら、鑑賞者のたてる音や他のカチカチ音に連鎖反応を起こしているらしく、時折、クライマックスのような飽和状態に達しては、リセットされて無音状態に戻る(そのサイクルは10分もかからない)。

もはや完全密閉されていないので無響室じゃないけど、それでも音の反響は小さいので、それぞれのカチカチがどの方向から聞こえてくるのかよく分かるし、距離もけっこうよく分かる。これに一番近いのはおそらく「森や林の中で四方八方から虫の鳴き声が聞こえてくる状況」だろう。それぞれの音が互いに反応し合うことで全体的な環境を作り上げ、それぞれはその環境にも反応する、というシステムが似ている。

つまり、これは、複数の個と全体の相互作用が織りなす擬似世界に鑑賞者もその一部として参加するインスタレーション作品だ。こうまとめてしまうと何だか面白くないけど、この作品の小気味良い点は、その擬似世界のルールがどうやらかなりシンプルにできていそうなところだ。また、そうして作り上げられる「世界」も、基本的には「光の明滅とカチカチ音」だけでできている。ひとは世界と反応しあって生きているというアタリマエのことをやたらシンプルに提示している点、それがこの作品の面白いところかもしれない。

と、今(2013-01-28午前1時14分)、眠い目をこすりながら考えました。
「環境との相互作用における聴覚の役割」を意識させる効果とかもあるけど、もう眠いので寝ます。

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こういう「カチカチ音」は色々なサウンドオブジェに使われているのを聞く。たぶん、この音を出す機械は作りやすいんだろうなあ。

一番すぐに思い出すのは小杉武久作のサウンドオブジェ。
こんなの。

Interspersion, 1998

Interspersion for Lights and Sound, 2000.
Pulses, 2008


まあ、色んな人が使ってる音だよなあ。
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三原聡一郎というサウンドアーティスト
のことはこのテキストで知った。最後の「芸術の方法としての音とは?」という節に感銘をうけたのだった。
CBCNET : TOPIC » “Sound Art. Sound as a Medium of Art” 『サウンドアート. 芸術の方法としての音』:

2012年度の東京ソニックアワードで坂本龍一特別審査員賞を受賞したらしい。


ーーーーーTwitterでの感想ーーーーー

2013年01月26日(土) 15 tweets

ソース取得:   



面白かった。無響室(もう無響の部屋ではなくなっていて残念だったが)にあった。四方から聞こえてくるカチカチカチカチ。小杉武久のサウンドオブジェみたいな奴。サイトスペシフィックじゃない「音を使う芸術」が洗練されるとこうなるなあ。 #fb http://t.co/11hYOWXC
posted at 17:16:15
時間軸上で知覚のポイントを散らして環境に埋没させる、とか。説明すると難しいな、これ。でも面白かったです。#fb http://t.co/11hYOWXC
posted at 17:18:01



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