ガセネタの荒野
大里 俊晴
が復刊されたのをワタナベさんから先に買って、さっき、一気に読んだ。
ものすごく面白い。
夜中の作業の気晴らしのつもりが、夜明けのコーヒーを飲むべき時間、というか、朝飯食いに行くべき時間じゃないか。
切実さを武器に、周囲のほとんど全てのものを凡庸であるとバカにしてなにか手に入らないものを手に入れるべく戦い、しかし毎回負ける。そういう演奏は、ある。そういう生き方をする人、少なくともそのように生きようとする人は、ある種の禁治産者みたいなもんでしかないし平和な日本でしか生きていけない甘ったるい人間でしかないかもしれないけど、愛すべき人間だし尊敬すべき人間だし、才能のある人間だ。
それは確かで、そのことを明確に語り、しかし対象から明晰に距離をとりつつ語る文章は、とても誠実で面白かった。
本を読んで自分は、自分が20代の頃は、こういう生き方を肯定する人間を(大里さんとはぜんぜん違う方向から)嫌うことで、自己形成しようとしてきたことを思い出した。
自分が凡庸な能力と才能しか持たない二流の人間であることは誇りに思って、「一流の人間」のことなんか馬鹿にして生きていかなければいけない。
もう一度強くそのことを心に刻み直した。
これ欲しいな。
でも10枚組なんか聴くかなあ…。
ちらかしっぱなし-ガセネタ in the BOX
ガセネタ
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