羽田→広州の機内で1-4を読了。これで半分強。残りの5-10は斜め読み。残りは各章が短かった。
コミュニティ、状況、会話、コラボレーション、敵対関係、パフォーマンス、ドキュメンテーション、超教育学(これはエルゲラの造語)、Deskilling(「熟練の解体と再構築」と訳される)という、(一般名詞のように)その意味が自明であるかのように使われるいくつかの言葉について多角的に検証するハンドブック。
必ずしも、アーティストがSEAを行うためのハウトゥー本ではないが、でも、そもそもは大学の授業のために書かれた本らしい。
例えば、コミュニティの参加のあり方にも幾種類かあると示したり(50-51)、「会話」といっても、SEAにおける会話にはいくつかの分類が可能であると分類して表にして見せてくれたり(100)、当たり前の分類なのだけど、改めて分類してあると、便利。
国際学会で発表するときなどに使えそう?!
一番面白かったのは、著者が、ソーシャル・ワークとSEAの一番の違いは「アートワールド」を「第二の対話者」として念頭に置いているかどうかだ、と言っていたこと(86-87)。コミュニティ全体を巻き込む運動として、アートとソーシャルワークとの違いを説明するには分かりやすい区分だけど、じゃあ、アートワールドを念頭に置かない活動はアートじゃないのか?と思わざるをえない。
いまの中川の問題関心からすれば、7. performance, 9. transpedagogyあたりは、参考になる。
乱暴にまとめると、SEAにおいては、半ば必然的に、パフォーマンスや教育的意図が中心的プロセスに入り込んでいる、という指摘。
↓
ここから論理を飛躍させて、〈1980年代日本におけるパフォーマンスやサウンド・アートにおける教育的意図〉は、日本のSAが、SEA的な動向とともに輸入されたことを示している〉という仮説を考えてみたくなる。
パブロ・エルゲラ 2015(2011) 『ソーシャリー・エンゲイジド・アート入門』 アート&ソサイエティ研究センターSEA研究会[秋葉美知子/工藤安代/清水裕子](訳) 東京:フィルムアート。
ソーシャリー・エンゲイジド・アート入門 アートが社会と深く関わるための10のポイント
パブロ・エルゲラ アート&ソサイエティ研究センター SEA研究会