2017-12-12

メモ:六本木のシューゴアーツで藤本由紀夫さんの個展『Stars』

http://shugoarts.com/news/3300/

2mほどの高さの幅狭の本棚みたいな木製の箱に三つのオルゴールがはめ込まれてあり、鑑賞者は自由にネジを回してオルゴールの音を出すことができる、という1990年の作品。オルゴールの歯はほとんど外されていて、1,2音しか発せられない。また、この本棚のような箱が今回は、シューゴアーツの二部屋に10本以上置かれていた。
この部屋を訪れた鑑賞者は、好きなタイミングで好きな場所の本棚のどれかのオルゴールのネジを好きな回数だけ回す。すると、部屋全体に、毎回ランダムな音の羅列が毎回ランダムな方向にある音源から毎回ランダムなタイミングで発せられ、毎回ランダムな時間経過に応じて減衰していく。鑑賞者は、部屋の中の好きな位置でその音に耳を傾けても良いし、部屋の中を歩き回っても良いし、適当に部屋から出て行ってももちろん構わない。
多音源サウンドインスタレーションで、しかも、時間的にも空間的にも鑑賞者に自由があるものだし、昔から面白い作品だなあ、と思ってきたけれど、今回は、シューゴアーツで一人だけでこの作品を体験できたので、今まで知らなかった面白さを味わえた。この作品は、鑑賞者がオルゴールのネジを巻かなければ音がしないのだが、今までぼくがこの作品を経験してきたのは西宮市大谷記念美術館のAudio picnicなど他の鑑賞者もたくさんいる状況だったので、自分以外よ誰かにオルゴールを巻くのを任せても、それなりに面白かった。しかし、今日は僕しかいなかったので、僕が巻かなければ音は出てこない。オルゴールのバネが伸びきった後に巻き戻すのも僕がしなければいけない。
なので気付いたのだが、この作品は、ランダムな音の配列が生み出される最初のギアを入れるのが自分である、というのがけっこう気持ち良いものなんだなあ。

ところで、美術館じゃなくてギャラリーだったので、作品に値段が書かれてる紙もあったのだけど(あの紙は何と呼ぶのだろう)、試験管にサイコロ入れたあの作品とか数十万円するらしい。
アート作品なので高いとは思わないけど、なんでその値段なのかはさっぱり分からない。アートの値段はどのように決定されているのだろう。あと、どんな人がどんなふうな考えのもと、買うのだろう。










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