2023-03-18

メモ:とけあうひびき@神奈川県民ホール

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とけあうひびき@神奈川県民ホール

オープニングトークにお誘いいただき、サウンドアートと展示作品について、なんやかやとお喋りした。作家の瀬藤さんとキュレーターの難波さんと研究者の中川が話したが、中川でも難波さんでもなく、瀬藤さんが見事な司会ぶりで僕らをうまく回してくれた。
展覧会は三人の作家による10個ほどの作品展示で、テーマが絞れているけど多様な経験もできるし、良い展覧会だった。一週間で終わるのはもったいない。
最初に地下一回で出会う笹の作品がまず秀逸。竹の枝や笹の先に身体がちょっと触れられて音が出るとか、そういう経験が抽出されている(扇風機で笹に風が当てられているのも良い。日本の音響的アヴァンギャルドのことを知っていると、扇風機が使われていると胸がキュンとするのだ、とトークで話したが、うまく伝わっただろうか?)。一部屋しっかり使って建物の外からリアルタイムで転送されてくる音を聴く作品も、思い切りがあってすごい。作品の焦点をきり絞っていて、何だか思い切りの良い作品だな、と思った。
とはいえ、ミニマルに振り切ることがこの展覧会の主眼ではなく、むしろ、他の作品の音が聞こえてくるのも面白みのひとつになる、というのがこの展覧会の良いところ。響きはとけあうし、重なり合っていた。sawako さんの作品に含まれる水琴窟の音と、中西さんの傘入れ作品の水の音と、瀬藤+三浦さんの桶作品の不思議な音と。全部混ざった状態を聞くのもそれなりに面白い。などなど。
学生さんの作品もあって、それぞれ売りになるポイントもあるが欠点もはっきり見えるなあとか思ってたが、みんな、初めて人前に出す作品を作ったらしい! 初めてでこれか、と思うと、なんかすごいしっかりしてんな、と思った。

帰りの電車のなかで書いているので、そろそろ弘明寺に着くので、ここらへんでおしまい。他の個々の作品についても色々と書いてみたいことはあるけど、最後に、瀬藤+三浦さんの桶作品について(全部作品名がテキトーで申し訳ない)。
これはスピーカーの上に天井からマイクをバネで吊るして、マイクに3台の扇風機の風を当てる、という作品。マイクとスピーカーとの間のフィードバック音を使うという点で、スティーブ・ライヒの《振り子の音楽》的なメカニズム。バネを使って不安定に上下に動くモノに扇風機を当てるという点で、小杉武久的な胸キュン要素もある。なので、ああこれはあんな感じの音なんだろうな、と予想のつく人もいるかもしれない。
しかし、たぶんその予想は外れている。この作品は、鳥の鳴き声のような、あるいはバードコールのような音を発する。しかも、天井から吊るされて扇風機に揺らされるマイクは、桶に入ったスピーカーの周りを可愛らしく飛び跳ねている。この音と挙動は、他では見聞きした覚えがない。たぶん。一見と一聴の価値があります。
「そこでしかできない聴取体験蒐集家」としては、ここでしか見聞きできないものを見聞きできて良い展覧会でした。来週までとはマジもったいない。

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