ギルバート・グレイプ;WHAT'S EATING GILBERT GRAPE [DVD]
序盤、主人公ギルバート・グレイプ(ジョニー・デップ)の日常(父親は早くに死んでいてそのショックで母親は家から出られないほど太り、自分は、スーパーの進出で青息吐息の食料品でバイトしながら、知的障害者の弟の面倒を見ながら、配達先の奥さんと不倫したり)といった「アメリカの田舎」の描写は面白かった。
そんな田舎町に、ジュリエット・ルイスが、トレーラー・ハウスのエンジンの故障でしばらく滞在することになった時の話。
淡々とした描写はすごく面白かった。
ただ、起承転結の「転」の前に、レオナルド・ディカプリオ演じる知的障害者アニーが家を飛び出す、という場面があるのだけど、そこで逃げこむ先がジュリエット・ルイスのトレーラー・ハウス、というあたりから、話にかなり無理が出てきた。
でも、淡々とした描写はすごく面白かった。
1.
最初は、ジョニー・デップの演技のほうが素晴らしいと思っていたのだけど、作品全体としてみれば物語に無理があるので、主演男優賞じゃなくて、レオナルド・ディカプリオの助演男優賞ノミネートなんだろうなあ、と思った。
2.
たぶん「アメリカの田舎の絶望」と「家族愛」がテーマだと思うが、それにしては話の要素を絞りすぎている。基本、田舎に閉じ込められた低所得者層の話なのだから、教育格差の問題とか、グローバル資本主義的なものとの葛藤とか、ほかにも色々たいせつな要素はあるに違いないと思うが、全て省略されている。ちょっと納得できない。
3.
そもそも、ギルバート・グレイプの年齢が分からない。アーニーが18になる誕生日パーティーが物語のクライマックスだからそれ以上なのは分かるが、ギルバート・グレイプが大学に行くこともおかしくない年齢なのかどうか、とかは重要なファクターだろう。
それに、とりあえずトレーラー・ハウスに乗って町の外に逃げ出せばそれで問題解決って、そんな馬鹿な。だいいち、なぜ、アーニーは知的障害者の設定なのか? 弟を連れて、ギルバート・グレイプは、20代後半、30代、40代をどうやって生きていくのか? 何も分からない。
4.
と、そういったことを思いました。
でも、淡々とした日常描写が、とてもよかった。
大型スーパーとか町の食料品店とかコーヒー・ショップとか、「建物の全体」が映されないことがよかったのではないかと思う。
ほとんど遠景シーンはなかったと思う。
あくまでも登場人物の視点に映るだろうものしか映像化されていないので、時々映像化される「日没シーン」や「遠くから見た家のある風景」が詩情豊かに見えるんだろう。
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青いblog ギルバート・グレイプ
ギルバート・グレイプは24歳だった。大学に生き直してもおかしくない年齢だ。
原題の"What's Eating Gilbert Grape"は「何に苛立ってるの、ギルバート・グレイプ」という意味なのか。
「ギルバート・グレイプを食い尽くそうとするもの」という意味かと思った。
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