『日本画』の前衛 1938–1949 | 京都国立近代美術館
木曜日に見れたので、ちょっとメモ。
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WWII前の日本で「日本画」の前衛だった、歴程美術協会というところの活動をとりあげたもので、美術史の一次資料を作るという美術館にとって最重要の活動に基づく展覧会なので、かなりマイナーで見てもよく分からんのではないかと思ったが、予想以上に面白かった。
たぶん、「アヴァンギャルド」の国ごとの違いと時代ごとの違いが見えて面白かったからだと思う。
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○国
日本画の前衛だからほとんどが紙本着色だった。実物よりもスライドとかカタログを通じて絵画を見るだけだと紙本着色も油彩も同じだけど、紙でもキャンバスでも、モンドリアン的な幾何抽象絵画っぽいのがあって、そこで使われてるモチーフが「日本的」だったりするのが、面白かったです。
授業に使えそう、と思った。
モンドリアンを見せながら、比較対象として、日本画(と洋画)の前衛を見せれば、学生は、「幾何抽象絵画」に親しみやすいかもしれない。モダンアートには「物語的内容」はないから、絵画について語るときには、色彩のリズムとかそういうものにポイントを移して語らないといけないわけだけど、そういうポイントの移行は、なかなか分かりにくいので、他国の似た傾向のものを比較すると親しみやすいかもしれない、と思った。
「日本画的なものを出発点として抽象画に向かう」ってのは分かるが、ただ、それだけだと明治期日本の近代洋画みたいだなあ、とも思いました。
○時代
明治期、昭和初期、今の日本で「アヴァンギャルド」の機能はそれぞれ違うはずだけど、でもこの展覧会は、「ある時代におけるモダンアートとかアヴァンギャルドのあり方」を潜在的にテーマにしているという点では、京都近美のひとつ前の『生存のエシックス』展覧会と、展示形式は全く違うけれど、同じテーマなんだなと思いました。概して、日本のアヴァンギャルドというものは、舶来物をありがたがってきた、と言えるかもしれないなあ、と思いました。
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ちょっとしたつまみを目当てにレセプション・パーティーに潜り込んで乾杯の音頭を見学したのだけど、絵画とは無関係の戦争体験の話がはじまり、とてもめんどうだった。しかしまあ、戦争体験のお話は、なぜ、めんどうなんだろう? 説教臭かったわけでもなかったのだけど。
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