2017-01-21

メモ:『卒業旅行~ニホンから来ました~』(1993)


岩渕功一『トランスナショナル・ジャパン』で、90年代の日本における「アジア」表象の事例として言及されていて興味を惹かれたので、VHSでしか入手できなかったけど、ヤフオクで入手した。
一留して4月から音響メーカーへの働き始める京都産業大学5年生の織田裕二が、東南アジアのチトワン王国というところに卒業旅行で一人旅しに来たところ、現地で怪しげな鹿賀丈史に丸め込まれて、「一発太郎」という名前で、SWAPの弟分の外タレとしてデビューしてしまう、というお話。ペッパー警部とかヤングマンを歌ってデビューして、毎日新しいアルバムをリリースして、でもなんやかんやあって、鶴田真由(と両親)が向かえに来て、なんやかんやあって、帰国する。
主人公(織田裕二)がデビューして帰国するまでとか、現地ブローカー(鹿賀丈史)がなぜ最後の最後まで主人公をだまくらかさないのかとか、主人公の恋人(鶴田真由)がどういう気持で主人公を好きでいたり嫌いになったりするのかとか、登場人物の心の動きがほとんどすべて、よく分からなかったので、これがDVDになっていないことは理解できる。東南アジアに対してなかなかに蔑視的だし、テレビ放映もされないだろう。

けど、〈「東南アジアの小国」でキラビヤカな衣装を着て懐メロを歌う織田裕二が「日本から来た外タレ」としてスターになる〉という物語が1993年に作られたというのは、バブルの残り香を嗅ぐようで、なんとも香ばしい。

これは、〈東南アジアでは「日本」はスゴイという物語〉を批判的に示す物語ではまったくないのだけど、当時、〈(西欧ではそれほどではないけど東南アジアでは)「日本」はスゲエ〉みたいな感覚を無批判に享受する雰囲気って、あったのか? そういう無神経な感覚はいつの時代もあったし今もあると思うけど、どの程度あったのかは分からない。これは僕が大学一年生の時に公開された映画なのだけど、そういう感覚は嫌いだったので、よく分からない。


卒業旅行 ニホンから来ました - Wikipedia


卒業旅行~ニホンから来ました~ [VHS]
卒業旅行~ニホンから来ました~ [VHS]
ポニーキャニオン 1994-04-28
売り上げランキング : 695


Amazonで詳しく見る by G-Tools






トランスナショナル・ジャパン――ポピュラー文化がアジアをひらく (岩波現代文庫)
トランスナショナル・ジャパン――ポピュラー文化がアジアをひらく (岩波現代文庫)岩渕 功一

岩波書店 2016-09-17
売り上げランキング : 135099


Amazonで詳しく見る by G-Tools

0 件のコメント: