2022-04-08

『クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]』に寄稿しました。



早くに送っていただいていたのにうまく受け取れず、一般発売日の今日、受け取りました。2月に終了した東京都現代美術館のクリスチャン・マークレー展の展覧会図録。論考「クリスチャン・マークレー再論 世界との交歓」を寄稿し、いくつか翻訳しました。

10年前に僕は「クリスチャン・マークレイ試論」(その頃は「マークレイ」表記が多かった)を書いたので、今回は「再論」です。自分はなぜクリスチャン・マークレーという作家の作品を好むのかということを考えていました。

翻訳は三本。ダグラス・カーン「サラウンド・サウンド」と、ダグラス・カーンによるクリスチャン・マークレーへのインタビューと、クリスチャン・マークレーと刀根康尚との対談。この三本、音響再生産技術を使うアートに関心のある研究者やアーティストにとっての基礎文献みたいなものなので、みなさん、是非ともご参照ください。なかでもダグラス・カーンのテキストはもう20年近く前のものだけど、細部で複層的な意味連関が絡み合っていて味わい深く、論の骨格や発想がなんともオリジナルで素晴らしいです。うまく訳出できていない部分も多いですが…。彼の『Noise, Water, Meat: A Hisotory of Sound in the Arts』も訳せるといいな。

展覧会図録の資料として、日本での展覧会とパフォーマンスの記録がまとめられています。これが面白い。かなり頻繁に日本に来てますね。この前Bunkamuraで見たミロ展のテーマが作家と日本との関わりだったので、なんとなく、ミロとクリスチャン・マークレーを並べて考えてみたり、やはり関係ないと思ったり。

クリスチャン・マークレーはけっこうな頻度で本あるいは展覧会図録を刊行していていちおう全部把握していると思うけど、なかでも、この展覧会図録は出色のデキだと思います。収録作品と展覧会コンセプトがうまく噛み合っているし、持ちやすいし、中川克志が寄稿しているし。

この図録作成だけでもけっこう紆余曲折を経て完成したもので、関係者各位のお仕事には頭が下がるばかり。展覧会全体の仕事量となると、もう凄まじいんでしょうね…。

>藪前さん お声がけしてくれて、ありがとございました。クリスチャン・マークレーというアーティストの仕事に多少なりとも関わることができて、嬉しかったです。感無量です。

0 件のコメント: