2022-10-09

メモ:浜辺のアインシュタイン@神奈川県民ホール

浜辺のアインシュタイン | 神奈川県民ホール 

ロバート・ウィルソン/フィリップ・グラス「浜辺のアインシュタイン」|神奈川県民ホール 

舞台上に階段がしつられられていて、下段、中段、上段のどこを使うかで、前景、中景、遠景を使い分けていた。で、前景と中景と遠景で、それぞれ別の速度で出演者が移動する、など。

とはいえだからといって、これは、三つの時間の流れのなかで別々のストーリーが語られていく、といった代物では全くなく、登場人物の心理描写や起承転結のある物語や何らかの統合的なイメージが連鎖発展する、といったタイプの「オペラ」ではなかった。一番簡単な言い方をすれば、これは、舞台と振り付けと音楽がものすごく綿密に作り込まれたコンテンポラリー・ダンス、だった。。それが休憩を挟んで4時間。清々しいまでに、何の物語もなかった。そりゃ元々の公演ではコーヒー・ブレイクを推奨されるはずである。
これを今の時代に再演(?)することのバカバカしさやこの「オペラ」としてのつまらなさを十分に理解したうえで、しかし、何のノスタルジーも感じさせること無しに多くの人間がこの(簡単には理解不能な)オペラを協力して作り上げたことへの感嘆を、うまく説明できる気がしない。
とにかく、僕は、これが2022年に神奈川県で上演されたことに感動した。いわゆる「オペラ」とは全く異なる代物をこんな風に上演してしまうこと、が引き起こす文脈撹乱の面白さ。一般は1万円だが学生は2000円だった。僕も学生として学生時代にこれを見たかった。これは、おそらく、20-30人の小さな箱でやることを1000人規模のホールでやったというものだったので。

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