最後の場面、カワイが辰夫に何か話しかけようとするがヘリコプターの音に邪魔されるという情景描写、かっこいい。
小林信彦が自身の60年代前半の20代の頃にヒッチコックマガジンの編集長をしていた頃を題材に描いた小説らしい。小説としての展開に引きずられるようにして読んだわけではないし、事物描写の美しさなどを売りにする小説ではないし、60年代初頭のちょっとした文化風俗の珍しさと、20代の青春の焦燥(のようなもの)とが、この小説の魅力だったような気もする。確かに、小林信彦版「坊っちゃん」だったのかもしれない(が、だとすれば、長すぎるが)。
後書きなどを読むと、50歳になる前に20代のことを書くべし、と思ったとのこと。僕も50才になると、20代の頃を違うふうに思い出し始める、ということだろうか。
PDF自炊したものを読んだ。ところどころ、ページの一番端の行が切れていたのだが、なんとか読んだ。再読だがほぼ覚えていない。中学生下高校生の頃に多く読んだのだけど、かやこは「小林信彦」という名前を聞いたことがないという。
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