2022-05-06

メモ:ヤン・シュヴァンクマイエル『アリス』(1988)と長門洋平「映画にとって「物語世界の音」とはなにか――ヤン・シュヴァンクマイエル『アリス』を例に」

『音と耳から考える』所収の長門洋平「映画にとって「物語世界の音」とはなにか――ヤン・シュヴァンクマイエル『アリス』を例に」を読むために、チェック。

映画の音響区分における最初の手続きを「物語世界/非物語世界」から「同期/非同期」へとシフトさせる、というアイデアを提案する、という論文。題材として『アリス』の冒頭部分が分析されている。

大学院授業で学生と読むのだが、短いし論旨は明快なので、映画にあまり関心のない学生にも読みやすいだろう。

中川

:「同期/非同期」という考え方は、トーキー以前の映画も同レベルで考察可能という点では有望そうな予感がする。ただし、どの程度の発展可能性があるかは少し疑問。「物語世界/非物語世界」では区別しきれない領域があるという指摘は至極もっともだが、そういう区別を厳然と感じてしまうことも確かではないか、と思ってしまうので。今後の長門さんの理論的発展に期待。

:『アリス』は面白かった。物語を進行させるやり方――すべてアリスのモノローグで処理してしまうなど――や、紅茶を入れる映像表現など、いちいち面白かった。
:アマプラは便利。

0 件のコメント: