2022-11-14

メモ:再制作されたイントナルモーリについて

ルッソロのイントナルモーリの復元についてちょっと聞かれただけのことに答えるために、いろいろ調べてしまったので、せっかくなので、メモを残しておく。2009年に復元されたものがけっこうまとまって復元された最初のもの、という理解で良いかもしれない、と考えておこうと思った。

この動画のイントナルモーリはどこが持っているのか?という質問。


どこが持っているか分からないが、たぶん2009年に復元されたものだと思うがその確証もない、というのが答え。
典拠の曖昧なものを事例に使うのは研究者としてダメだけど、これはある程度傍証を集められる。
とりあえず以下のようなことを調べたのでメモしておく(調べたといっても基本はネットを検索しただけだが)。

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1.

YouTubeのキャプションには2012 exhibition at Lisbon’s Museu Coleção Berardo」とあり、ポルトガルのベラルド現代近代美術館 (Museu Coleção Berardo)で2012年に展示されたもののようだが、「Museu Coleção Berardo intonarumori」と検索しても確証が得られない…。

2.

英語版Wikipediaの「Intonarumoriの「Intonarumori reconstruction」という部分の説明によると、ルッソロの手になるスケッチなどに基づいて復元されたイントナルモーリたちは三セットあるらしい。

1.イタリア未来派100周年を記念してSFMoMAなどが協賛して2009年辺りに作られたもの
2.「雑音の芸術」100周年を記念してカーネギーメロン大学などが協賛して2013年辺りに作られたもの
3.オランダのサウンド・アーティストのWessel Westerveldという人が作ったもの

近年のルッソロ研究として参照すべきChessa, Luciano. 2012. Luigi Russolo, Futurist: Noise, Visual Arts, and the Occult. University of California Press.によると、1は、Luciano Chessaがグラントをとって調査研究したうえで復元作業を行ったものとのこと(Chessa 2012: 275 ch9のn35)。これもそう。
2と3がダメということでもなさそう。どちらも詳細不明だが、3はオランダ語の情報しか見つけられないけど、これなどしっかりした造りで復元しているみたいで、面白そう

3.

Wikipediaに書かれていないものもたくさんある
秋山邦晴が復元したことで日本では有名な多摩美のイントナルモーリもそう。というか、一台だけ復元した事例はWikipediaに記載しきれないほど多い、ということかもしれない。
たぶん一番流通しているルッソロ《都市の目覚め》の録音物は、1977年のヴェニス・ビエンナーレの際に復元されたイントナルモーリを使って、1978年にDaniel Lombardiというひとが収録したもの(と、ライナーノーツに書いてあったけど、このspotifyのリンク先では1977年と書いてあるな…)。
1の復元をしたLuciano Chessaも、Pietro Verardoなる人物による復元ヴァージョンを参照した、と述べている。

4.

なので、上記動画のイントナルモーリは、おそらくLuciano Chessaという、ルッソロ研究の著作もある音楽家が復元したものだと思うが、確証はない本人に聞くのが一番早い/速い案件だろうな。
:Luciano Chessa website https://www.lucianochessa.com/

追記:

ところで、色々検索していたら、大友良英さんが2005年に書いたJAMJAM日記を発見した。
ここで、1914(大正4)年の日本の記事で、イギリスでイントナルモーリ初演を見た日本人による報告記事に言及があり、さらに、大友良英さんは2002年に多摩美のイントナルモーリを使って演奏会をしてCDをにもなった、ということを書いている。
でも、このCDはなかなか入手しにくそうだ以下のようなウェブサイトが出てきたのだけど、けっこう典型的な詐欺サイトにしか見えない。違ったらほんとごめんなさい。でも、僕はちょっと使えないなあ…

巨大騒音楽器 INTONARUMORI ORCHESTRA*02年多摩美大美術館実況録音 /大友良英 /伊東篤弘 /Sachiko M /秋山徹二 /中村としまる /杉本拓 ヤフオク! - 巨大騒音楽器 INTONARUMORI ORCHESTRA 02年多摩... [b1035586969] - 9,700円 https://nsexjv.worlden.top/index.php?main_page=product_info&cPath=60_61&products_id=16877

ともあれ、このCD聞いてみたいな。

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