ルッソロのイントナルモーリの復元についてちょっと聞かれただけのことに答えるために、いろいろ調べてしまったので、せっかくなので、メモを残しておく。2009年に復元されたものがけっこうまとまって復元された最初のもの、という理解で良いかもしれない、と考えておこうと思った。
この動画のイントナルモーリはどこが持っているのか?という質問。
どこが持っているか分からないが、たぶん2009年に復元されたものだと思うがその確証もない、というのが答え。典拠の曖昧なものを事例に使うのは研究者としてダメだけど、これはある程度傍証を集められる。
とりあえず以下のようなことを調べたのでメモしておく(調べたといっても基本はネットを検索しただけだが)。
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1.
YouTubeのキャプションには「
2.
英語版Wikipediaの「Intonarumori」の「
1. イタリア未来派100周年を記念してSFMoMAなどが協賛して 2009年辺りに作られたもの
2.「雑音の芸術」 100周年を記念してカーネギーメロン大学などが協賛して201 3年辺りに作られたもの
3.オランダのサウンド・アーティストのWessel Westerveldという人が作ったもの
近年のルッソロ研究として参照すべきChessa, Luciano. 2012. Luigi Russolo, Futurist: Noise, Visual Arts, and the Occult. University of California Press.によると、1は、Luciano Chessaがグラントをとって調査研究したうえで復元 作業を行ったものとのこと(Chessa 2012: 275 ch9のn35)。これもそう。
3.
Wikipediaに書かれていないものもたくさんある。
秋山邦晴が復元したことで日本では有名な多摩美のイントナルモーリもそう。というか、一台だけ復元した事例はWikipediaに記載しきれないほど多い、ということかもしれない。
たぶん一番流通しているルッソロ《都市の目覚め》 の録音物は、1977年のヴェニス・ ビエンナーレの際に復元されたイントナルモーリを使って、 1978年にDaniel Lombardiというひとが収録したもの(と、 ライナーノーツに書いてあったけど、このspotifyのリンク先では1977年と書いてあるな…)。
1の復元をしたLuciano Chessaも、Pietro Verardoなる人物による復元ヴァージョンを参照した、 と述べている。
4.
なので、上記動画のイントナルモーリは、おそらくLuciano Chessaという、ルッソロ研究の著作もある音楽家が復元した ものだと思うが、確証はない。本人に聞くのが一番早い/速い案件だろうな。
:Luciano Chessa website https://www.lucianochessa.com/
追記:
ところで、色々検索していたら、大友良英さんが2005年に書いたJAMJAM日記を発見した。
ここで、1914(大正4)年の日本の記事で、イギリスでイントナルモーリ初演を見た日本人による報告記事に言及があり、さらに、大友良英さんは2002年に多摩美のイントナルモーリを使って演奏会をしてCDをにもなった、ということを書いている。
でも、このCDはなかなか入手しにくそうだ。以下のようなウェブサイトが出てきたのだけど、 けっこう典型的な詐欺サイトにしか見えない。違ったらほんとごめんなさい。でも、僕はちょっと使えないなあ…。
巨大騒音楽器 INTONARUMORI ORCHESTRA*02年多摩美大美術館実況録音 /大友良英 /伊東篤弘 /Sachiko M /秋山徹二 /中村としまる /杉本拓 ヤフオク! - 巨大騒音楽器 INTONARUMORI ORCHESTRA 02年多摩... [b1035586969] - 9,700円 https://nsexjv.worlden.top/ index.php?main_page=product_ info&cPath=60_61&products_id= 16877
ともあれ、このCD聞いてみたいな。
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