Hear and Now
Irene Taylor Brodsky
人工蝸牛を移植することを決めた65歳の老夫婦の手術前と手術後を娘が記録したドキュメンタリー。生まれつきdeafなので音は見るか触るかしかできなかったのに65歳になってから「聴覚」を得た老夫婦の記録。
この映画を知ったきっかけは、これ。
65歳で生まれて初めて「音」を体験した夫婦 - ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記:ただしポッドキャストは「コラムの花道」のポッドキャストなので、もうない。Youtubeとかニコニコ動画とかにあるかもしれないが見つからなかった。
オリバー・サックス『火星の人類学者』に出てくるらしい「外科手術で視覚を移植したところ、認知的な枠組みが出来上がっているところに視覚を移植しても”通常の視覚”は獲得できなかったので、結局その視覚を取り出すことになった、みたいな話」の聴覚版として覚えていたが、ちょっと違った。
聴覚(人工蝸牛)を移植して数日たってからしばらくは、カクテルパーティー効果が働かず(音声の選択的聴取ができなくて)ちょっとしたパニックになるというのは、覚えていたとおり。
でも、けっきょく人工蝸牛を取り出すといった劇的な事態にはならない。そもそも使いたくない場合は人工蝸牛とセットで使う補聴器みたいな機械があるので、それを使わなければ良いだけ。夫婦で少し違うけれど、ふたりは、この新しい知覚装置を、それなりに使いこなしたり、たんに使わなくなったりしたようだ。
メモをふたつ。
1.
手術直後、「いろいろな音を聞いて喜ぶ老夫婦の様子」は、とても印象的。
ベーコンを炒める音、道端の雑草を触る音、照明のスイッチを付けたり消したりする音、廊下や雪道の足音、等々。
物心ついたばかりの子どものように音を聞いて、音を聞くことだけで、喜ぶ。
2.
最後、ふたりが手をつないで歩いていくシーンは感動的。
たbんこのシーンがあったから、町山智浩はポッドキャストで紹介したんだと思う。というか、確かに地味な映画だけど、この最後のシーンがあるのだから、日本でも公開すればよかったのに。そしたらわざわざリージョン1の映画を観る必要もなかったろうに(とはいえ、主人公の老夫婦ふたりのdeaf person英語は不明瞭なので字幕が付けられているので、その分、見やすかった)。
火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)
オリヴァー サックス Oliver Sacks
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