2024-12-11

メモ:Boox Note2の使い方を見直した

booxの使い方を改めることにした。アプリ「Autosync for Google Drive」で一括管理してみることにした。

Androidの「Googleドライブ」アプリは、フォルダ単位での自動同期ができないので!

なので、booxからGoogleドライブを使うのではなく、Autosync for Google Driveを使って、「_Bookshelf >_1 _コピペ必須」フォルダを同期することにした。paperpile論文は「_1 _コピペ必須」に入れることにした。

うまくいくだろうか…!

2024-11-25

お知らせ:12月16日(月)に和歌山の本町文化堂で、『サウンド・アートとは何か』(ナカニシヤ出版、2023年)のトークイベントを開催します。


お知らせ:12月16日(月)に和歌山の本町文化堂で、『サウンド・アートとは何か』(ナカニシヤ出版、2023年)のトークイベントを開催します。聞き手に奥村一郎さん(和歌山県立近代美術館学芸員)をお迎えし、サウンド・アートについてお話する会です。入場無料。関西圏の方どうぞおいでませ。

本町文化堂は和歌山市ぶらくり丁にあるイカした本屋さんです。1900-2100の予定。たぶん22時ごろまでに出たら京都大阪神戸に帰れるはず。配信はナシ。来場者限定配布小冊子を鋭意制作中です。よろしくお願いします。



中川克志『サウンド・アートとは何か』(ナカニシヤ出版、2023年)

出版記念トークイベント開催!


本書籍につきまして、刊行してそろそろ1年経ったので、出版記念トークイベントを行います。

聞き手に奥村一郎さん(和歌山県立近代美術館の学芸員)をお迎えし、和歌山の本町文化堂さんで開催します。

サウンド・アートとはどんなものかとかサウンド・アートのアクチュアリティとかについて、語り尽くす会になることでしょう!

配信はナシ。来場者限定配布小冊子を鋭意制作中です。


日時   :2024年12月16日(月)1900-2100(開演時間は適宜アレで)

場所   :本町文化堂(和歌山市ぶらくり丁にあるイカした本屋さん)

聞き手:奥村一郎さん

入場は無料です。


本町文化堂へのアクセス

〒640-8035 和歌山市本町3丁目6(ハマノスポーツさん南隣)

 南海和歌山市駅より:徒歩約13分

 JR和歌山駅より:南海和歌山市駅行きバス「本町3丁目」下車、目前

 ぶらくり丁まで、連れもてきてください。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

以下、メモ

→本町文化堂のウェブサイトでの告知:『サウンド・アートとは何か』出版記念トークイベント | 新刊古書 | 本町文化堂 | 和歌山 https://www.books-plug.com/xo_event/241216/

→所属部局のウェブサイトのお知らせ:2024.11.26 中川克志准教授が出版記念トークイベントに登壇します。https://usc.ynu.ac.jp/news/index.html#news-20241126

→所属部局のウェブサイトのお知らせ2:中川克志先生/『サウンド・アートとは何か』出版記念トークイベント開催 - Y-GSC https://ygsc-studio.ynu.ac.jp/2024/11/post-62.html

→Facebookでの告知:中川 克志 - お知らせ:12月16日(月)に和歌山の本町文化堂で、『サウンド・アートとは何か』(ナカニシヤ出版、2023年)のトーク... | Facebook https://www.facebook.com/katsushi.nakagawa.9/posts/pfbid02nSAGFuKenYTamXXymeAHgmBGjnZcrNbU2n2mFt4wBvX3rrS2ThfEXA9Kc795dHD7l

→ Blueskyでの告知:https://bsky.app/profile/nk09.bsky.social/post/3lbr23253m22j

→threadsでの告知:https://www.threads.net/@nakagawa09/post/DCyWGmtzK464l9XhY25QhBPJtOkanfJCVxDETg0

→X (twitter)での告知:https://x.com/nakagawa09/status/1860955259562336757

→ナカニシヤ出版(@NakanishiyaPub)による告知:https://x.com/NakanishiyaPub/status/1861236710899884239




メモ:共感覚研究について

以下はメモ。

Richard E. Cytowic

2023年11月16日にMIT PRESSのウェブサイトに「共感覚の200年の歴史」という記事が掲載された。

A Brief 200-Year History of Synesthesia | The MIT Press Reader 

著者はRichard E. Cytowic。この文章が掲載されているのは、、ペーパーブックが2018年に出版されたSynesthesia という本。


著者は20世紀後半に共感覚を(再び)科学の研究対象として取り上げたRichard E. Cytowic。


この人の本は一冊翻訳されている。
リチャード・E. シトーウィック『共感覚者の驚くべき日常: 形を味わう人、色を聴く人』がある。ここに「共感覚、200年の歴史」という章があるようだが、それがこのMIT PRESSに転載されたものと同じ内容かどうかは不明。日本語の方が新しい内容っぽい。が、どちらも20年以上前の文章。

日本語で次に読むべきものなど

ちゃんとした学術書は少なそう。比較的新しいのはこちら。学術書だがインタビューがメインみたいだし読みやすいかも?

他は少し古いかも。

個別事例の報告とか本人の告白とかじゃない本はあまりなく、人文学的あるいは芸術におけるシナステジアを扱った本もあまりなさそう。
:注文したが未読。でも、キュレイターによる作家論だろうと想像している。
:やはりこれがまだ一番かも。

:個別論文だと、個別事例研究しかない

日本音響学会誌のv77, n3 (2021)は「小特集―音にかかわる多感覚統合の世界―」! 


2024-11-10

メモ:藤原和通展、今井祝雄展

岡山県立美術館で『藤原和通―そこにある音』展

早朝横浜を出て最終日に滑り込み、すぐに神戸に向かう。
藤原和通といえば1970年代の音響標定と、イタリアから帰国後のウゴウゴルーガなどの活動が有名。この展覧会はそんな藤原和通に対する理解を修正調整してくれた。
音響標定は何度も行われたみたいだけど、僕は、この展覧会で初めて、その記録映像を見た(僕だけじゃないのでは?!)。丸太を選んで運び込んででっかい石臼と石臼を回す回転軸などを作って、そしてすぐに解体する様子の映像。関係者間にはあったのかもしれないが、僕は関係者じゃないので、知らなかった。というか、一時間ほど映像を見ていて思ったのだが、なんの役に立つのか全く分からないこんなものに、よくもまあ、けっこうな人数とお金を巻き込んだものなだなあ。「アーティスト」ってスゴイ。あと、やはりら藤原和通は、「芸術における音の歴史」という文脈より、「1960-70年代の日本における環境芸術とかハプニングとか」の文脈で考えたほうが面白いかも。そのような文脈にいて、「しかし作曲家を志していた人」として。この言い方だと、小杉武久と被るな。だから、ちょっと言葉足らずか。
後年の帰国後のオトショップの展開とかバイノーラル録音とかは、どう考えるべきだろう。映像入りフィールドレコーディング録音を小売り販売するって、音声データ販売が当たり前になった今考えると、「古くなってしまった新しいメディア」でしかないようにも思われるし。
展覧会を企画した学芸のホンさんと少しお話しする。藤原和通関連でもっと深掘りできるらしいことを知ったり、アーティストの生き様について色々学んだり。今後の展開が楽しみ。

今井祝雄展@芦屋市立美術博物館

写真、映像、ビデオ、磁気テープなどを用いながら、時間経過を記録し続けることによって何かを曝け出そうとしたり、コンセプチュアルに何かを記録することによって何かを曝け出そうとする1970年代の今井は、かなり、「メディア」アーティストだし、「(バズワードとしての)現象」を相手にしていると説明ざるを得ないような作家に思われる。が、バズワードで説明される作家が多くの場合そうであるように、ここでも単に言葉が足りないだけだ。正解に、今井は、当時新しかったメディアを用いてその可能性を探究していた、と、述べるべきだ。そして、それは、草むらにガラス板を置いてその変化を記録するSquareのような傑作を生み出すこともあるし、曲がり角で必ず写真撮影しただけという何というかあんまりよく分からないものもある。
時間を扱うメディアとしての写真、ビデオ、テープの可能性を組み尽くすのに成功しているようには思えないが、失敗しているわけでもない。いくつかは世界レベルの凄さだと感じるが、どこか物足りないとも感じる。
関西文化の日で観覧無料だったので、たくさんいた。テープ作品を見て子どもたちはどう思うのかしら。
こちらも藤原展もちゃんと図録作ってあって、素晴らしい。

2024-11-05

メモ:永冨真梨(責任編集)、大和田俊之(監修)『カントリー・ミュージックの地殻変動──多様な物語り』(河出書房新社、2024年)

を落手しました。ありがとうございます。

「面白そうだけど、カントリーかあ…。苦手なんだよなあ…。」と思いつつ、斜め読みしましたが、これは、読みやすく、しかし、複雑な内容を単純化せずに語っている、良い本でした。インタビューも対談もちょっとした論考もディスクガイドもあって、「カントリー」に色々な方向からアプローチする(ことができると教えてくれる)。

ただし、そんな感じで学術書ではないのだけど、分かりやすさに媚びていないというか。永冨さんらしさを感じました。「永冨の語りは世界の単純化に抵抗するのだ」(『ポピュラー音楽研究』v24 (2020): 109)なあ、と。

ということで、カントリーの可塑性みたいなものを丁寧に探るこの本の趣旨とは反対かもしれないけど、とりあえず、Apple Musicの「カントリー」のプレイリストをライブラリに追加しておきました。今のところ、個人的な人生の記憶に関わるということもあり、《Take Me Home, Country Roads (Original Version)》だけが頭に残っています。

大和田さんのハリー・スミス本も楽しみですね。僕ももっと頑張るぞ。

2024-10-29

メモ:ネットフリックスで『極悪女王』

を見た。昭和の貧乏なお家の様子が懐かしく、面白く見た。プロレスには全く興味がなかったし今後もないと思うけど、最後の第5話でダンプ松本の引退試合の展開を見て、「ああ、なるほど、これは歴史改変系の物語なんだな(タランティーノの『イングロリアス・バスターズ』とか『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』みたいに)」と思って見て、それはそれでスッキリとした気持ちで楽しんだ。

で、見終えてからダンプ松本の動画を探してみたら、本当にあったことだったことを知って、ちょービックリ。あと、髪切りデスマッチの試合描写もあんまり誇張して描いていたわけではなかったっぽいことに、ビックリ。

涙・感動!極悪女王Netfllix公開記念 極悪女王ダンプ松本引退試合 全日本女子プロレス栄光の日 #ダンプ松本#極悪女王#ネトフリ極悪プロレス#極悪同盟 引退試合全日本女子プロレス公式 - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=CcINtl02_38

2024-10-17

まとめ:「新しい楽器」:簡易版

半年ほど前に書いたものをまとめておきます。

単著『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』(ナカニシヤ、2023年)の宣伝を兼ねてはじめた「新しい楽器」という読み物です。togetterのまとめをリンクしておきます。2023年11月から2024年3月まで投稿していました。

「楽器」という言葉を広げよう、と思って書きました。また、旧twitter(現X)の連続ポストで、各ポストにできるだけリンクを含めるという形式の読み物を作ろう、と思って書きました。また、色々寄り道した読み物を作成してみよう、と思って書きました。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

新しい楽器:1.はじめのあいさつ - Togetter https://togetter.com/li/2258001

新しい楽器:2.吉村弘のサウンド・チューブについて - Togetter https://togetter.com/li/2258002

新しい楽器:3.ルッソロのイントナルモーリ - Togetter https://togetter.com/li/2258005

新しい楽器:4.ケージのプリペアド・ピアノ - Togetter https://togetter.com/li/2258006

新しい楽器:5.扇風機 - Togetter https://togetter.com/li/2259021

新しい楽器:6.鈴木昭男さんのアナラポス - Togetter https://togetter.com/li/2260031

新しい楽器:7.テルミン - Togetter https://togetter.com/li/2261924

新しい楽器:8.バシェの音響彫刻とジョー・ジョーンズの創作楽器 - Togetter https://togetter.com/li/2264159

新しい楽器:9.洗濯板 - Togetter https://togetter.com/li/2266417

新しい楽器:10.イントナルモーリの復元について - Togetter https://togetter.com/li/2268833

新しい楽器:11.ハリー・パーチの楽器 - Togetter https://togetter.com/li/2272011

新しい楽器:12.タワシ - Togetter https://togetter.com/li/2274842

新しい楽器:13.レコード:ミラン・ニザのBroken Music - Togetter https://togetter.com/li/2277702

新しい楽器:14.椅子 - Togetter https://togetter.com/li/2280325

新しい楽器:15.箱 - Togetter https://togetter.com/li/2282954

新しい楽器:16.ヴァイオリン - Togetter https://togetter.com/li/2293149

新しい楽器:17.ドラムセット - Togetter https://togetter.com/li/2297448

新しい楽器:18.クリスチャン・マークレー《Drumkit》(1999) - Togetter https://togetter.com/li/2301692

新しい楽器:19.メトロノーム - Togetter https://togetter.com/li/2306777

新しい楽器:20.エオリアン・ハープ - Togetter https://togetter.com/li/2311011

新しい楽器:21.共有玩具、共遊楽器 - Togetter https://togetter.com/li/2317886

新しい楽器:22.磁気テープ - Togetter https://togetter.com/li/2322200

新しい楽器:23.子どものための楽器、創造的音楽学習、こどもの城 - Togetter https://togetter.com/li/2326617

新しい楽器:24.枯葉 - Togetter https://togetter.com/li/2330689

新しい楽器:25.分子の音と細胞の音 - Togetter https://togetter.com/li/2334561

新しい楽器:26.本 - Togetter https://togetter.com/li/2338621

タグ:サウンド・アート サウンドアート アヴァンギャルド 音響芸術 実験音楽 サウンド・インスタレーション 音響彫刻 サウンド・スカルプチュア メディア・アート 現代アート

まとめ:「新しい楽器」:詳細版

半年ほど前に書いたものをまとめておきます。

単著『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』(ナカニシヤ、2023年)の宣伝を兼ねてはじめた「新しい楽器」という読み物です。togetterのまとめをリンクしておきます。2023年11月から2024年3月まで投稿していました。

「楽器」という言葉を広げよう、と思って書きました。また、旧twitter(現X)の連続ポストで、各ポストにできるだけリンクを含めるという形式の読み物を作ろう、と思って書きました。また、色々寄り道した読み物を作成してみよう、と思って書きました。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

新しい楽器:1.はじめのあいさつ - Togetter https://togetter.com/li/2258001

新しい楽器:2.吉村弘のサウンド・チューブについて - Togetter https://togetter.com/li/2258002

新しい楽器:3.ルッソロのイントナルモーリ - Togetter https://togetter.com/li/2258005

新しい楽器:4.ケージのプリペアド・ピアノ - Togetter https://togetter.com/li/2258006

新しい楽器:5.扇風機 - Togetter https://togetter.com/li/2259021

新しい楽器:6.鈴木昭男さんのアナラポス - Togetter https://togetter.com/li/2260031

新しい楽器:7.テルミン - Togetter https://togetter.com/li/2261924

新しい楽器:8.バシェの音響彫刻とジョー・ジョーンズの創作楽器 - Togetter https://togetter.com/li/2264159

新しい楽器:9.洗濯板 - Togetter https://togetter.com/li/2266417

新しい楽器:10.イントナルモーリの復元について - Togetter https://togetter.com/li/2268833

新しい楽器:11.ハリー・パーチの楽器 - Togetter https://togetter.com/li/2272011

新しい楽器:12.タワシ - Togetter https://togetter.com/li/2274842

新しい楽器:13.レコード:ミラン・ニザのBroken Music - Togetter https://togetter.com/li/2277702

新しい楽器:14.椅子 - Togetter https://togetter.com/li/2280325

新しい楽器:15.箱 - Togetter https://togetter.com/li/2282954

新しい楽器:16.ヴァイオリン - Togetter https://togetter.com/li/2293149

新しい楽器:17.ドラムセット - Togetter https://togetter.com/li/2297448

新しい楽器:18.クリスチャン・マークレー《Drumkit》(1999) - Togetter https://togetter.com/li/2301692

新しい楽器:19.メトロノーム - Togetter https://togetter.com/li/2306777

新しい楽器:20.エオリアン・ハープ - Togetter https://togetter.com/li/2311011

新しい楽器:21.共有玩具、共遊楽器 - Togetter https://togetter.com/li/2317886

新しい楽器:22.磁気テープ - Togetter https://togetter.com/li/2322200

新しい楽器:23.子どものための楽器、創造的音楽学習、こどもの城 - Togetter https://togetter.com/li/2326617

新しい楽器:24.枯葉 - Togetter https://togetter.com/li/2330689

新しい楽器:25.分子の音と細胞の音 - Togetter https://togetter.com/li/2334561

新しい楽器:26.本 - Togetter https://togetter.com/li/2338621

タグ:サウンド・アート サウンドアート アヴァンギャルド 音響芸術 実験音楽 サウンド・インスタレーション 音響彫刻 サウンド・スカルプチュア メディア・アート 現代アート

2024-09-24

『昭和文学研究』の座談会、公開

今年の3月に『昭和文学研究』で刊行された座談会が、J-STAGEで公開されました。どうぞご笑覧ください。
福田貴成・中川克志・疋田雅章・広瀬正浩(司会) 2024 「座談会 「音」と文学――文学研究とサウンド・スタディーズとの対話――」 『昭和文学研究』88:2-23。

2024-09-17

メモ:ポール.J・シルヴィア『できる研究者の論文作成メソッド』

 

三年前に読んで衝撃を受けたポール.J・シルヴィア『できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか』の続編、『できる研究者の論文作成メソッド』を読む。

ここまで論文作成の具体的プロセスが実践的に説明されると、「IF係数の高い雑誌に掲載する論文作成」が至上命題になっていない領域の研究者(≒人文学の研究者)には、参考にならないことが多い。でも、この本も勇気づけられる本だった。

共著論文というのは人文系はあまり多くないが、僕は今、編著を作成しているので、色々と学ぶアドバイスは多かった。共著作成時にはメールを使うべきではない、と断言できるのは、羨ましい。原著は2015年出版で翻訳は2016年出版だが、僕の周りではいまだにメールしか使わない人も多い。書籍の分担執筆や百科事典項目や書評は「やめておいた方がよい執筆」(227-)だというのは、分野が違うから、だろうか。「本」は研究成果発表の場所としてまだ大切な気がする。(でも、そういや、ここ数年でものすごく増えてきた無茶苦茶ページ数の多いhandbookの類は、こういう「やめておいた方がよい執筆」なのかもしれない。あるいは、若手研究者のとりあえずの発表場所、みたいな感じもするが。)

書く理由は色々ある:「学ぶために書く」、自分の考えを発見するための方策として書く、という人もいる(4)

インパクトのある論文を書くとは「その分野で交わされる会話の内容に変化をもたらそうと努力をすること」(8)

経験を積んだ研究者であれば、投稿前の段階で再投稿の計画を立てている。(29)

学習をめぐって、僕が頭の中で考えているモデルは、情報化地合いの教員としては少々風変わりかもしれない。そう、本を読むべし。(31)

ライティングの本を読むことについて:年に一冊以上は読むこと(39)

共著について:書きかけの断片についてフィードバックを求めないこと、電子メールで行わないこと、一人が下書きを全て書いてみること、コメントはオプトイン制にすること(締め切りを設定して締め切りまで返信がなければ承諾したとみなすこと)

うまくいかない時は、「最初のステップは、金輪際、厄介な研究者と一緒に共著論文を書いたりしないと誓うこと」「原稿の完成に向けて粘り強い督促作業を開始」すること、「厄介な共著者に降りてもらうよう打診すること」など

「研究者たるもの、作品一本ではなく、一連の作品群の展開を目指すべきだ」(217)

「書き終えたばかりの論文がとんでもない難産で、論文など金輪際書けそうにないという気分でいるとしても、とりあえず落ち着こう。大丈夫、書ける。」(232)

「僕らは、自分の自由になる部分などほとんどないという事態を受け入れたうえで、自分の自由になる部分、つまり自分自身の行動という部分をコントロールする必要がある。執筆にあてる時間帯を選択し、その時間が来たら机に向かって執筆を開始し、その時間が終わったら執筆をやめる。執筆をスケジュールに組み込むことは、「文章をたくさん書く人が、どうやって文章をたくさん書いているか」そのものだ。」(233)

「まずは試してみよう。週4-6時間を執筆に充てるところから始めるのがよいと思う。」(233)


「推薦の言葉」より

「ものごとをロジカルに考える習慣が身についているはずの研究者なのに、彼ら彼女らの多くが「塵も積もれば山となる」をいまだに実感していないのは驚くべきことである。」(iv)


参考:

I am alive.: メモ:ポール.J・シルヴィア『できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか』 https://after34.blogspot.com/2021/07/j.html


2024-09-03

研究会のお知らせ: ベンジャミン・ピケット「トランスーション:ヘンリー・カウ、ロック、インプロヴィゼンーション、実験音楽、サウンドアートの発展史 」

240906付記:

(*写真は一番無難そうなのを選んだつもりですが、何か問題あればすぐ削除しますので、どうぞお知らせください。)

当日は盛況に終わりました。そういや、こういう特別講義のイベントのレポートって、どんな形で残せば良いのだろう。芸大の優秀なスタッフのおかげで映像記録はあるのだけど、テキストで残すことを考えていなかった…! でもまあ、講演用原稿とかは公開するものじゃないし、こういう講演があったことそれ自体が今後につながるのだ、と考えておけば良いのかもしれない。

Benjamin Piekutさんのお話は、前半はHenry Cowの話で、後半は最近行なっているsound art研究の話ですた。前半で、rockの実践において焦点がthe soundに変わっていったという話が印象深く、後半は、最近行なっているsound art研究におけるpractices, concepts, categoriesの話(とJing Wang, Half Sound, Half Philosophyの話)が面白かったです。来場者のほとんどはHenry Cowに関心があったのだと思うけど、僕は、sound art研究のアプローチの仕方に感心しました。あと、僕のサウンド・アート研究のアプローチをやたら褒めてくれていて、大変気分が良かったです。Benさんのsound art研究、きっちり論文化されることを期待。2,3年以内に書くみたいなことを言っていたので、期待!

特別講義の後、講義のあった階の上階で20人ほどでアフターパーティーがありました。色々なタイプの人と話して面白かったです。最後、(講演で出てきたHenry CowのDelugeではなく)Talking HeadsのPsycho Killerで、みんな踊ってた(Henry CowのTim Hodgkinsonさんも)ことをご報告しておきます。

とりあえず、作ったけど半分以上見せなかったので、せっかくなので、中川の5分トークスライド(実際は10分ほど話してしまった)を公開しておきます(これは別に秘匿しておくべきというほどのものではないので):中川_5_minutes_talk_at_Benさんイベント_ver1_240830.pdf

これだけ見てもよく分からないと思うけど、まあ、「お焚き上げ」ってやつです。)
(この文章を書いていて初めて気づいたけど、「トランスーション」となっている! 8月後半の準備中からさっきまで、全く気づいていなかった!!! せっかくなので、このままにしておこう。)


定員に達したので締め切りました(8月18日)。ご予約いただいた方、ありがとうございました。ストリーミング配信などは検討中の未定です。


研究会のお知らせです。

来月9月3日(火)に東京芸大上野キャンパスで、『ヘンリーカウ:世界とは問題である』(月曜社刊、2023年)の著者ベンジャミン・ピケット氏(コーネル大学音楽学部教授)による特別講義が行われます。1960年代以降の様々な音楽文化(ヘンリー・カウ、ロック、インプロヴィゼンーション、実験音楽、サウンドアートなど)の流動的諸関係についてお話ししていただけると思います(中川の予想です)。
逐次通訳あり。興味のある方はどなたでも参加できます。ぜひお越しください。定員40名なので事前登録が必要です。詳細はリンク先をご覧ください。

特別講義: ベンジャミン・ピケット「トランスーション:ヘンリー・カウ、ロック、インプロヴィゼンーション、実験音楽、サウンドアートの発展史 」 | 東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻 http://ga.geidai.ac.jp/2024/08/13/benjamin-piekut/



ピケット氏は1960年代以降のいわば音楽文化のエコシステム全体を研究している人です。日本ではもちろん『ヘンリーカウ:世界とは問題である』の著者として知られていますが、最初の著書ではいわゆるケージ的な実験音楽周辺の諸々を扱ったり、ジョージ・E・ルイスとともに即興演奏に関する論文集を編集したり、なぜか、Henry Flyntのインタビュー動画が蓄積されているYouTubeチャンネルを持っていたりします。その関心の一環として、近年ピケット氏はsound art(というコンセプトの出現した経緯)を調査しています。その点で中川と、「概念あるいはタームとしてのサウンド・アート」に対する関心を共有しているわけです。
講義には他にも、横川理彦さん(音楽家、After Dinnerなどに参加)も登壇されます。
よろしくお願いします。

参考:Special Talk: Professor Benjamin Piekut | 東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻 http://ga.geidai.ac.jp/en/2024/08/13/benjamin-piekut/

2024-08-22

トークイベントの登壇のお知らせ:8/22 横浜サウンドスケープトークセッション 〜川崎義博・Marcos Fernandes・岩崎佐和・中川克志・中野圭とともに〜【オンライン視聴あり】

来週22日(木)の夜、トークイベント「8/22 横浜サウンドスケープトークセッション 〜川崎義博・Marcos Fernandes・岩崎佐和・中川克志・中野圭とともに〜【オンライン視聴あり】」に登壇します。あまり把握していませんが、どうやら、12月頃のYPAMに「横浜市内でサウンドスケープと身体を切り口とする公演を企画してエントリーする方向で調整中」とのこと。

中川は「サウンド・アートとかサウンドスケープに関する話し方を刷新すべし!(いつまでも1990年代とか2000年代の話し方と変わり映えしないのは良くない!)」と訴えようかな、とか思いましたが、そういう話をする機会ではないかもしれない。だとすると、今年度も後期に試してみる「サウンドウォークする授業」の話をするのかな。

オンライン視聴あり。場所は関内さくら通りのシェアスペース「泰生ポーチフロント(横浜市中区相生町2)」。です。詳細はリンク先をご参照ください。

関連イベントもいっぱいありますね。どこかでお目にかかれたら幸いです。

よろしくお願いします。

https://www.facebook.com/events/1730259184215494/?ti=ls 

2024-08-15

メモ:「すべての芸術は絶えず音楽の状態に憧れる」という言葉

 「すべての芸術は絶えず音楽の状態に憧れる」という言葉は、ウォルター・ペイター「ジョルジョーネ派」という文章に出てくる。基本的にはルネサンスの画家について論じた文章だが、この言葉はなかなか使い勝手が良いので、元の文脈から離れていろいろ便利に使われる。僕も便利に使う。

この文章は白水社Uブックスのウォルター・ペイター『ルネサンス 美術と詩の研究』に収録されている。



のだが、2024年に、たぶん個人出版で、新訳が出ていた。岡崎俊介さんとは何者なのだろう?

Amazon.co.jp: ルネサンス : 芸術と詩の考察 eBook : ペイター, 岡崎俊介: Kindleストア



また、こちらと関係あるのかどうか分からないが、ウェブ上に翻訳が公開されていた。菊坂高踏さんとは何者なのだろう?
【翻訳】ウォルター・ペイター「ジョルジョーネ派」(『ルネサンス』第7章)

2024-07-02

「吉村弘再考:環境音楽とサウンド・アートの先駆者」を公開しておきます。

Audible Culture - 2024年7月吉村弘再考 


2023年の吉村弘の展覧会(「吉村弘 風景の音 音の風景」、神奈川県立近代美術館鎌倉別館、2023年4月29日から9月3日まで))に合わせて企画された書籍のために書いた文章を公開しておきます。

こちら、原稿は2023年1月10日に提出したのですが、書籍の企画がなくなってしまったので、お蔵入りとなっていました。

とはいえ、僕は是非とも最後の「近年のKankyō Ongaku再評価について一言」を述べておきたいので、編集者の手の入っていない文章なので雑なところもあるのですが、公開しておきます。どうぞご笑覧ください。

2024-06-10

メモ:映画『関心領域』(2024)

 Mark Isにできた新しい映画館で『関心領域』を見た。演出における音響効果の使用が多いとのことだったので、是非とも映画館で見なければと思ってみに行った。新しい映画館は座席からも音が再生されるらしく、それが良いか悪いかは映画によると思うけど、映画の音響効果の使い方の意図は分かりやすかった気がする。

物語としてはえらく単純で地味な筋で、「何も起こらない」と言っても過言ではないが、最後の現在と交錯する映像や画面全体が赤色に染まる演出などは面白かった。アニメーション映画『戦場でワルツを』(2008)の最後のシーンを思い出すなど。

このヘス所長の邸宅が収容所の隣にあったって、実話なの???

あと、あのリンゴの少女はなんだったんだろう?(→こういう記事が出てきたけど:実話だった!『関心領域』リンゴを置く少女の演出をネタバレありで考察 | タビシネマ

音響効果は、「普通なら消される背景音」が消去されずに残っていること、が面白かった。「普通なら消される背景音」が消去されずに残っているので、視聴者は少し違和感を感じるのだけど、その背景音は物語の筋とは無関係なので、視聴者も無視しながら聞くようになる(あるいは、違和感を感じつつ「とりあえず」は無視するようになる)、という仕掛けがポイントだった。

2024-06-09

メモ:松本清張『ゼロの焦点』


僕の指導学生じゃないけど大学院生が研究で扱ってるし、寝る前に読んでいると数分後に眠くなるのでちょうど良い寝る前読書として、読んだ。

東京から金沢まで夜行列車で一泊かかるとか、ところ構わずタバコを吸うとか、人とお話をするために旅館の部屋を借りるのが当たり前とか、色々な文化風俗が違うので、そういうのに引っかかりつつ読んだ。

『砂の器』でも思ったけど、設定に無理があるけれど叙述の蓄積でなんとなく不自然さが醸し出されないように物語を展開していくのが松本清張なんだなあ、と再認識。とはいえ、結構強引なお話ではあるよな、とは思う。偽名での二重生活のディティルの説明が怪しすぎないか。基本的には、主人公のモノローグあるいは思い込みに過ぎないことも多いわけで、だからといって、私小説的な技巧が凝らされているわけでもないし。

ともあれ、ここで描かれるのは、戦後13年の段階におけるパンパンへの同情的な視線、だった。ただし、パンパン全員ではなく、両家の生まれ育ちでやむを得ない事情でパンパンになったがそこからなんとか抜け出せた人限定、だった。


これを2020年代の日本で語り直すことの意味は何だろうか。1950年代後半の日本における女性表象の一事例、程度ではないのか? という疑問をメモしておこう。

2024-06-07

『週間読書人』に『コンサートホール×オーケストラ 理想の響きをもとめて』の書評を書きました

 本日(2024年6月7日)発行の『週間読書人』に、豊田泰久(語り手)、林田直樹(聞き手)、潮博恵(解説)『コンサートホール×オーケストラ 理想の響きをもとめて』(アルテスパブリッシング、2024年)(https://artespublishing.com/shop/books/86559-289-4/
)の書評を寄稿しました。僕のクラシック音楽への造詣はとても浅いですが、豊田泰久さんのお話は面白いです。『鳥になった少年』や『文化系のためのヒップホップ入門』のように面白い。石合力『響きをみがく――音響設計家 豊田泰久の仕事』(朝日新聞出版、2021年)も良かった。
週刊読書人 - 6月7日号、本日刷り上がりました! 巻頭特集:対談=宮﨑裕助・土田知則 <デリダとド・マンの「読むこと」を問う>... | Facebook https://www.facebook.com/dokushojin/posts/pfbid02ULfRgXNYTXj94tPrqp3mvyXpeoVe6CnMWdtoqSRbkqbLLh4aHdNZ892LHs2onXmgl

2024-05-29

ネットラジオ『毛利嘉孝のアート・リパブリック』に出演(0528の2300-2330,0604−0609タイムフリー)

毛利嘉孝さんのネットラジオ『毛利嘉孝のアート・リパブリック』に出演してお話しさせてもらいました。2024/5/28(火)23:00-23:30にリアルタイム放送、2024/6/4(火)~6/9(日)にタイムフリー放送です。詳細はリンク先。お時間のある方、どうぞお楽しみください。

番組で二曲音楽をかけられるとのことだったので、銅金裕司・藤枝守『エコロジカル・プラントロン』(https://emrecords.bandcamp.com/album/ecological-plantron)とすずめのティアーズ(https://agathadoyasa.bandcamp.com/track/zaraita-bushi)の二曲(?)を流してもらって、その二曲の間にジョジョの奇妙な冒険の実写版の素晴らしさなどについても話したい!などと思っていたのですが、全く話せず。
収録はあっという間に終わり、久しぶりに毛利さんと会って色々話せて楽しかったな、という記憶だけが残っていますが、それ以来僕は「ラジオをやりたい」と漠然と思っています。ポッドキャストとか。
サウンド・アートとは何か? 中川克志さん(横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院准教授)を迎えて | RadiCro(レディクロ)インターネットラジオ放送局 https://www.radicro.com/.../radicro-tokyo/munpare/mori-2405/

*

中川 克志 - 毛利嘉孝さんのネットラジオ『毛利嘉孝のアート・リパブリック』に出演してお話しさせてもらいました。2024/5/28(火... | Facebook https://www.facebook.com/katsushi.nakagawa.9/posts/pfbid0Vi47o2eYuEqGeY4SDSy6maR3xf2emhxn5TwpaHRepfKF3wq331VmC16E4oRYttQul

2024-05-16

UBUNTUでTverを見る方法

ubuntuのchromeではTverを見ることが出来ない。アプリを使えとか言われるけど何のことか分からないけど、研究室のubuntu (iMac)はメディア再生機として使っているので、Tver見れた方が、お弁当食べるときに便利。

そこで「ubuntu Tver」と検索してみたところ、 Chrome拡張機能のUser-Agent Switcher for Chromeを使ってuser-agentを偽装するとか出てくるけど、Firefoxなら見れた

これが一番楽。

2024-05-08

5月31日にKOIAS(神戸雰囲気学研究所)のアート・プロジェクトが開催するシンポジウムに登壇します。

KOIASアート・プロジェクト「thinking with the ears」というものがあり、そこが、ベルリンを拠点に活動するSam Auingerとkatrinemというアーティストを招聘し、神戸滞在制作を行ってもらうとのこと。それに伴って開催されるシンポジウムに登壇します。ふたりは別日(0504,0512,0525)にサウンドウォークも開催するそうです。

参考:real local 神戸【神戸】KOIASアート・プロジェクト#2 Thinking with the ears 神戸を歩く、神戸を聴く - reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【イベント】 


シンポジウムでは、sam + katrinemのパフォーマンスと、鈴木昭男さんと宮北弘美さんのパフォーマンスも行われます。

日時|2024年5月31日(金)14:00-18:00

会場|デザイン・クリエイティブセンター神戸 KIITO ホール(神戸市)

主催|神戸雰囲気学研究所

よろしくお願いします。


2024-04-11

自分への励みと促しとして、2023年度の仕事と2024年度の予定(願望)の備忘録

2023年度にはようやく単著を出せて嬉しかった。好評なご意見をいただいており、出せてよかった思ってます。なので、今後のことを考えるためにも、今年度の抱負は「色んな人に会って話をしよう」です。皆様、色々と相手してやってください。

とはいえ、それなりに計画はあり、今年度も90年代ジーベック調査を継続します。昨年の今頃も「サウンド・スタディーズの教科書は今年度中にみなさんから原稿を集めて2024年度には出したい。Keywords in Soundの翻訳は亀の歩みのように進めている。」と書いており、これも継続中のプロジェクトです。サウンド・スタディーズの「教科書」の本は、ようやく原稿が集まりつつあります。翻訳の下訳は終わりましたが、引き受けてもらえる出版社を再度探している段階です。あと、今年度はvisual musicとsoundwalkingのことを考える予定。

今年はどんな新しいことをできるかな。

以下、メモ。書誌情報に不備はあります。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

書いたものなど

中川克志 2023 『サウンド・アートとは何か――音と耳に関わる現代アートの四つの系譜――』 京都:ナカニシヤ出版。

(出版社による書籍紹介ページ: https://www.nakanishiya.co.jp/book/b10044931.html
:音響彫刻など視覚美術のことだけではなく、実験音楽などアヴァンギャルドな音楽のことだけでもなく、包括的に「サウンド・アート」について整理した唯一の本です。四つの領域におけるサウンド・アートの系譜を整理しました。それぞれ、音響彫刻小史、実験音楽としてのサウンド・アート小史、メディア・アートとしてのサウンド・アート小史、サウンド・インスタレーション小史として読めます。

中川克志 2024a 「<研究論文>音楽認識論序説 ジョン・ケージ以降の音と音楽の境界線をめぐって[1/2]」 『常盤台人間文化論叢』10:145–60. https://doi.org/10.18880/0002000350.
中川克志 2024b 「日本におけるサウンド・アートの系譜学:神戸ジーベックホール(1989-1999)をめぐって:その1――『Sound Arts』誌(1992-1998)の場合――」 『京都国立近代美術館研究論集 CROSS SECTIONS』11: 44-53。

福田貴成・中川克志・疋田雅章・広瀬正浩(司会) 2024 「座談会 「音」と文学――文学研究とサウンド・スタディーズとの対話――」 『昭和文学研究』88:2-23。 → J-STAGEで公開

学会発表

NAKAGAWA Katsushi. 2023. “History of Sound in the Arts in Japan: the case of "Onkyo-Chokoku" (meaning sound sculpture)” at the 22th International Congress of Aesthetics (Universidade Federal de Minas Gerais, Belo Hrizonte, Brazil), July, 25th, 2023. (English)

その他

SCHEDULE | fourth floor 《音楽、イベント、cafe、映画、アート、》
【在学生情報】酒井風・中川克志先生/『サウンド・アートと実験音楽の間』VOL.3-Between sound art and experimental music- - Y-GSC

参考:過去

I am alive.: 自分への励みと促しとして、2022年度の仕事と2023年度の予定(願望)の備忘録 https://after34.blogspot.com/2023/04/20222023.html
I am alive.: 自分への励みと促しとして、2021年度の仕事と2022年度の予定(願望)の備忘録 https://after34.blogspot.com/2022/04/20212022.html
I am alive.: 自分への励みと促しとして、2020年度の仕事と2021年度の予定(願望)の備忘録 https://after34.blogspot.com/2021/04/20202021.html
I am alive.: 自分への励みと促しとして、2019年度の仕事と2020年度の予定(願望)の備忘録 https://after34.blogspot.com/2020/07/20192020.html
I am alive.: 自分への励みと促しとして、2018年の仕事と2019年の予定(願望)の備忘録 https://after34.blogspot.com/2018/12/20182019.html

2024-03-22

つやちゃんさんに書評してもらいました

turntokyoというメディアプラットフォームで、「つやちゃん」さんに本をとりあげてもらいました(フィメールラッパー批評原論の方だ)。アカデミックにしっかり系譜学を書いていることと、注とか文の狭間とかに僕の見解をたくさん潜ませていることを、きっちり読み取ってもらえていて、とても、嬉しい。

【From My Bookshelf】Vol.22『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』中川克志(著)歴史を整理し系譜学を打ち立てた画期的な書 | TURN https://turntokyo.com/features/from-my-bookshelf-22/

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

最後に宣伝させてください。

『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』が出ました。音響彫刻など視覚美術のことだけではなく、実験音楽などアヴァンギャルドな音楽のことだけでもなく、包括的に「サウンド・アート」について整理した唯一の本です。

四つの領域におけるサウンド・アートの系譜を整理しました。それぞれ、音響彫刻小史、実験音楽としてのサウンド・アート小史、メディア・アートとしてのサウンド・アート小史、サウンド・インスタレーション小史として読めます。この領域への解像度を高めてください。

サウンド・アート(音のある美術やアヴァンギャルドな音楽など)について語る語彙と概念が更新されるはずです。『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』が広く、長く、読まれますように。

サウンド・アートとは何か - 株式会社ナカニシヤ出版 https://www.nakanishiya.co.jp/book/b10044931.html

2024-03-20

メモ:ニーナ・サン・アイズハイム『声の人種[The Race of Sound]』、Jimmy Scott

いま、ジョナサン・スターンのある論文を翻訳するために、ニーナ・サン・アイズハイムという人の『声の人種[The Race of Sound]』という本を確認している。この本は、声を通じて人種を想定する行為がいかに文化的な営為であるかを、きちんとした理論的整備といくつかの事例分析を通じて検証しようとするものらしく、序文で提唱される〈声は単一的なものではなく集合的なものである、声は内的な発露ではなく文化的に規定される、声の源は発話者にではなく聴き手にある〉といった命題も魅力的で(どうやってこういうことを説得的に論じるのだろう?という知的好奇心を掻き立てる)、面白そうである。ヴォイス・スタディーズな人に噛み砕いて訳してもらいたいところ。

ともあれ、この本では、カルマン症候群にかかったので声変わりしなかったJimmy Scottという歌手のことが分析される。この歌手はスターンの論文でも人名が言及されていたのでapple musicで検索して聴いてみて、なるほどこんな感じね、と思っていた。で、今日またちょっとググってみたところ、この人はツイン・ピークス最終話のクーパーの夢世界みたいなところで歌っていたことを知った。

Jimmy Scott-Sycamore Trees (Twin Peaks) - YouTube

クーパーが若い!
数十年前に初めてこの歌う場面を見た時の記憶はもうないけど、確かに、この声が男声か女声かは、すぐには決定できないかもしれない(リンチなのだから、歌う演技をする男性の俳優に女性歌手の声を重ねる、という演出も十分あり得そうだし)。声の源の性別や人種を決定するのは発話者ではなく聴き手なのかもしれない。


アイズハイムの本はこちら。オープンアクセスがある。 Eidsheim, Nina Sun. 2018. The Race of Sound: Listening, Timbre, and Vocality in African American Music. Duke University Press. https://doi.org/10.1215/9780822372646. (オープンアクセス版はこちら:https://library.oapen.org/handle/20.500.12657/22281 こちらの出版年は2019年になるらしい。)

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
最後に宣伝させてください。
『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』が出ました。音響彫刻など視覚美術のことだけではなく、実験音楽などアヴァンギャルドな音楽のことだけでもなく、包括的に「サウンド・アート」について整理した唯一の本です。
四つの領域におけるサウンド・アートの系譜を整理しました。それぞれ、音響彫刻小史、実験音楽としてのサウンド・アート小史、メディア・アートとしてのサウンド・アート小史、サウンド・インスタレーション小史として読めます。この領域への解像度を高めてください。
サウンド・アート(音のある美術やアヴァンギャルドな音楽など)について語る語彙と概念が更新されるはずです。『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』が広く、長く、読まれますように。

サウンド・アートとは何か - 株式会社ナカニシヤ出版 https://www.nakanishiya.co.jp/book/b10044931.html

2024-03-07

メモ:Leonel Vásquez

 https://www.facebook.com/katsushi.nakagawa.9/posts/pfbid0ntfEGrRAKv2Hj5wvx6RXMB7VHAVWj25LXzu35b3ytEZM112cVFKA5P2DYD5wvfckl

Leonel Vásquezというコロンビアのアーティストさん。名前を覚えておくべし。
藤田クレアさんの貝殻の作品を思い出したが、音だけなら藤田クレアさんの作品の方が、かそやかで面白い。こちらはなんだか、リバーブが強すぎる(なぜリバーブ音が出ているのだろう???)(リバーブ音じゃないのか?!)。
ただし、Vásquezさんは他の作品も面白そう。まとめて作品を見たい。

→コメント:何言っているか全くわからないが、たぶんVásquezさんの個展なのではないか、と推測。|“Templo del agua: río Bogotá” de Leonel Vásquez - YouTube

→コメント:藤田クレアさんの作品はこちら。|InvisibleSoundscape - YouTube

→コメント:「かそやか」という言葉はないそうです。|かそやか - Google 検索 https://www.google.com/search...

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

最後に宣伝させてください。

『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』が出ました。音響彫刻など視覚美術のことだけではなく、実験音楽などアヴァンギャルドな音楽のことだけでもなく、包括的に「サウンド・アート」について整理した唯一の本です。

四つの領域におけるサウンド・アートの系譜を整理しました。それぞれ、音響彫刻小史、実験音楽としてのサウンド・アート小史、メディア・アートとしてのサウンド・アート小史、サウンド・インスタレーション小史として読めます。この領域への解像度を高めてください。

サウンド・アート(音のある美術やアヴァンギャルドな音楽など)について語る語彙と概念が更新されるはずです。『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』が広く、長く、読まれますように。

サウンド・アートとは何か - 株式会社ナカニシヤ出版 https://www.nakanishiya.co.jp/book/b10044931.html

2024-02-22

メモ:『She's More Wild』(1981)

Sonic Arts Unionに関する文章を漁っていて、変な映像を見つけた。寿司屋さんのアニメーション(?)とデヴィッド・バーマンらしいグリッサンドするシンセサイザー。David Behrmanと(「Dion Casio」さんではなく) Paul DeMarinisさんが音楽を提供した1981年の「She's More Wild」というレコードがあり、2020年にその完全版(全曲収録盤)が発売されたらしい。これはその曲に付けられた映像ということか?

David Behrman, Dion Casio, Fern Friedman, Terri Hanlon, Anne Klingensmith - Japanese Disease - YouTube 


以下、YouTube動画の説明欄の(ChatGPTではなく中川による)要約。

1981年に、David Behrman, Paul DeMarinis, Fern Friedman, Terri Hanlon, and Anne Klingensmithがミルズ・カレッジで録音した『She's More Wild』というレコードがあるらしく、2020年に再販されたらしい。それまでは3トラックが収録された7インチで少数にしか流通していなかったので、今回のリリースで初めて完全版が販売されたらしい(She's More Wild... | David Behrman, Paul DeMarinis, Fern Friedman, Terri Hanlon, Anne Klingensmith | Black Truffle)。

歌詞?言葉?ナレーションを書いたのはFERN FRIEDMANとTERRI HANLONらしく、音はデヴィッド・バーマンとポール・デマリニス。で、その音が「a ‘pop’ formatに近づいている」という説明がなされている。バーマンのクラシック『On the Other Ocean』で聞くことのできる滑らかに周波数を変化させていく電子音や、デマリニスの『Songs Without Throats』で聞くことのできるSpeak n’ Spell(おもちゃのアレ)をハックした音だとかが、ポップだ、という説明の仕方。これに似たものはJacqueline Humbert & David RosenboomのDaytime Viewingくらいだろう、とのこと。



ということで、最後まで分からないのだが、この映像は誰が作ったのだ?

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

最後に宣伝させてください。

『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』が出ました。音響彫刻など視覚美術のことだけではなく、実験音楽などアヴァンギャルドな音楽のことだけでもなく、包括的に「サウンド・アート」について整理した唯一の本です。

四つの領域におけるサウンド・アートの系譜を整理しました。それぞれ、音響彫刻小史、実験音楽としてのサウンド・アート小史、メディア・アートとしてのサウンド・アート小史、サウンド・インスタレーション小史として読めます。この領域への解像度を高めてください。

サウンド・アート(音のある美術やアヴァンギャルドな音楽など)について語る語彙と概念が更新されるはずです。『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』が広く、長く、読まれますように。

サウンド・アートとは何か - 株式会社ナカニシヤ出版 https://www.nakanishiya.co.jp/book/b10044931.html

2024-02-13

メモ『音の行方』


音遊びの会のドキュメンタリーを池袋(東京芸術劇場)でやっと見れた。

なんかむっちゃ良かった。僕のなかに溢れ出る多幸感。
なんつうか、偶然巡り会えた音楽家たちが、予想していなかったようなシナジー効果のおかげで、すごくカッコ良いし、カッコ良いかどうかあまり関係ないかもしれないというタイプの音楽を演奏してしまった、みたいなことだったのだろうか。これはThe Langley Schools Music ProjectとかThe Shaggsとかともまったく違う。公表してもしなくても良いけど公表した方が面白そうだし、子どもたちも楽しそうだ。こういう演奏カッコ良い!と思う人がたくさんいるからこそ、この演奏はカッコ良い、というところもあるので、こういう即興演奏を認める人が少なかった時代には、こういう演奏はどう思われることになっていたのだろうか。「アール・ブリュット」とか呼ばれるしかなかったのだろうか。いやまあ、今でも「即興演奏」が一般的に高く認知評価されてるわけでもないだろうけど。
何か楽器を衝動買いして帰ろう!と思って池袋駅周辺をウロウロしたけど、幸い楽器屋を見つけられなかったので、楽器は買わずに帰宅中。
ともあれやはり、考えずにいられないのは、誰がどんな感じで、彼らの演奏会場や楽器を手配し、セッティングし、片付けているのだろうか、ということである。ドラムセットだけで2,3台あるようにも見えたけど。
電子ドラム買おうかな…。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

最後に宣伝させてください。

『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』が出ました。音響彫刻など視覚美術のことだけではなく、実験音楽などアヴァンギャルドな音楽のことだけでもなく、包括的に「サウンド・アート」について整理した唯一の本です。

四つの領域におけるサウンド・アートの系譜を整理しました。それぞれ、音響彫刻小史、実験音楽としてのサウンド・アート小史、メディア・アートとしてのサウンド・アート小史、サウンド・インスタレーション小史として読めます。この領域への解像度を高めてください。

サウンド・アート(音のある美術やアヴァンギャルドな音楽など)について語る語彙と概念が更新されるはずです。『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』が広く、長く、読まれますように。

サウンド・アートとは何か - 株式会社ナカニシヤ出版 https://www.nakanishiya.co.jp/book/b10044931.html

2024-01-12

メモ:「サンゴは森の夢をみる」@ 座・高円寺

台湾のヤニク・ダビさん(Yannick Daubyさん)の絡む展覧会とのことで、早稲田の帰りに高円寺に立ち寄った。(その死体を見ることの方が多い)サンゴは(台湾の山に住んでた方が一旦街に出た後に山に戻って生活しているらしい)山の夢をみるとは、なんとステキなタイトル。録音だけではなく、ここに行って、周りの音に耳を澄ませてみたい。ヤニクさんの録音は臨場感が高いような気がする。気持ち良いテッポウウオの音。

ということで、1600過ぎに高円寺から横浜に戻ろうとしているのだけど、この時間もう混んでる。小学生とか高校生がいっぱい電車に乗ってるんだなあ。

https://za-koenji.jp/detail/index.php?id=3070


- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

最後に宣伝させてください。

『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』が出ました。音響彫刻など視覚美術のことだけではなく、実験音楽などアヴァンギャルドな音楽のことだけでもなく、包括的に「サウンド・アート」について整理した唯一の本です。

四つの領域におけるサウンド・アートの系譜を整理しました。それぞれ、音響彫刻小史、実験音楽としてのサウンド・アート小史、メディア・アートとしてのサウンド・アート小史、サウンド・インスタレーション小史として読めます。この領域への解像度を高めてください。

サウンド・アート(音のある美術やアヴァンギャルドな音楽など)について語る語彙と概念が更新されるはずです。『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』が広く、長く、読まれますように。

サウンド・アートとは何か - 株式会社ナカニシヤ出版 https://www.nakanishiya.co.jp/book/b10044931.html

2024-01-01

明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます

2023年は横浜で初めて車を入手したり久しぶりの海外出張がとても刺激的で楽しかったり娘がとうとうランドセルを入手したり、色々ありました。日々何かあるのは嬉しいことです。

何より、2023年12月に単著『サウンド・アートとは何か――音と耳に関わる現代アートの四つの系譜――』(ナカニシヤ出版、2023年)が出版されました。

https://www.nakanishiya.co.jp/book/b10044931.html

音響芸術やサウンド・インスタレーションなど視覚美術のことだけではなく、実験音楽や音響派などアヴァンギャルドな音楽のことだけでもなく、包括的に「サウンド・アート」なる対象について整理した唯一の本だと思います。広く、長く、読まれますように。

基礎的で基本的な事項を整理することで、次の新しく面白い何かにつながるに違いない、と思っています。そういう方面に僕のこの仕事は役立つことでしょう。どうぞ、広く皆さま、お手にとって読んでみてください。

(個人的には2回目の博士論文みたいな気持ちで作成しましたが、まあそれは書き手の僕の事情です。)


ということで、皆様、今年もよろしくお願いします。
2024年度はもっと色々な場所に出かけて、色々な人とお話していこう、と思っています。