2024-06-10

メモ:映画『関心領域』(2024)

 Mark Isにできた新しい映画館で『関心領域』を見た。演出における音響効果の使用が多いとのことだったので、是非とも映画館で見なければと思ってみに行った。新しい映画館は座席からも音が再生されるらしく、それが良いか悪いかは映画によると思うけど、映画の音響効果の使い方の意図は分かりやすかった気がする。

物語としてはえらく単純で地味な筋で、「何も起こらない」と言っても過言ではないが、最後の現在と交錯する映像や画面全体が赤色に染まる演出などは面白かった。アニメーション映画『戦場でワルツを』(2008)の最後のシーンを思い出すなど。

このヘス所長の邸宅が収容所の隣にあったって、実話なの???

あと、あのリンゴの少女はなんだったんだろう?(→こういう記事が出てきたけど:実話だった!『関心領域』リンゴを置く少女の演出をネタバレありで考察 | タビシネマ

音響効果は、「普通なら消される背景音」が消去されずに残っていること、が面白かった。「普通なら消される背景音」が消去されずに残っているので、視聴者は少し違和感を感じるのだけど、その背景音は物語の筋とは無関係なので、視聴者も無視しながら聞くようになる(あるいは、違和感を感じつつ「とりあえず」は無視するようになる)、という仕掛けがポイントだった。

2024-06-09

メモ:松本清張『ゼロの焦点』


僕の指導学生じゃないけど大学院生が研究で扱ってるし、寝る前に読んでいると数分後に眠くなるのでちょうど良い寝る前読書として、読んだ。

東京から金沢まで夜行列車で一泊かかるとか、ところ構わずタバコを吸うとか、人とお話をするために旅館の部屋を借りるのが当たり前とか、色々な文化風俗が違うので、そういうのに引っかかりつつ読んだ。

『砂の器』でも思ったけど、設定に無理があるけれど叙述の蓄積でなんとなく不自然さが醸し出されないように物語を展開していくのが松本清張なんだなあ、と再認識。とはいえ、結構強引なお話ではあるよな、とは思う。偽名での二重生活のディティルの説明が怪しすぎないか。基本的には、主人公のモノローグあるいは思い込みに過ぎないことも多いわけで、だからといって、私小説的な技巧が凝らされているわけでもないし。

ともあれ、ここで描かれるのは、戦後13年の段階におけるパンパンへの同情的な視線、だった。ただし、パンパン全員ではなく、両家の生まれ育ちでやむを得ない事情でパンパンになったがそこからなんとか抜け出せた人限定、だった。


これを2020年代の日本で語り直すことの意味は何だろうか。1950年代後半の日本における女性表象の一事例、程度ではないのか? という疑問をメモしておこう。

2024-06-07

『週間読書人』に『コンサートホール×オーケストラ 理想の響きをもとめて』の書評を書きました

 本日(2024年6月7日)発行の『週間読書人』に、豊田泰久(語り手)、林田直樹(聞き手)、潮博恵(解説)『コンサートホール×オーケストラ 理想の響きをもとめて』(アルテスパブリッシング、2024年)(https://artespublishing.com/shop/books/86559-289-4/
)の書評を寄稿しました。僕のクラシック音楽への造詣はとても浅いですが、豊田泰久さんのお話は面白いです。『鳥になった少年』や『文化系のためのヒップホップ入門』のように面白い。石合力『響きをみがく――音響設計家 豊田泰久の仕事』(朝日新聞出版、2021年)も良かった。
週刊読書人 - 6月7日号、本日刷り上がりました! 巻頭特集:対談=宮﨑裕助・土田知則 <デリダとド・マンの「読むこと」を問う>... | Facebook https://www.facebook.com/dokushojin/posts/pfbid02ULfRgXNYTXj94tPrqp3mvyXpeoVe6CnMWdtoqSRbkqbLLh4aHdNZ892LHs2onXmgl

2024-05-29

ネットラジオ『毛利嘉孝のアート・リパブリック』に出演(0528の2300-2330,0604−0609タイムフリー)

毛利嘉孝さんのネットラジオ『毛利嘉孝のアート・リパブリック』に出演してお話しさせてもらいました。2024/5/28(火)23:00-23:30にリアルタイム放送、2024/6/4(火)~6/9(日)にタイムフリー放送です。詳細はリンク先。お時間のある方、どうぞお楽しみください。

番組で二曲音楽をかけられるとのことだったので、銅金裕司・藤枝守『エコロジカル・プラントロン』(https://emrecords.bandcamp.com/album/ecological-plantron)とすずめのティアーズ(https://agathadoyasa.bandcamp.com/track/zaraita-bushi)の二曲(?)を流してもらって、その二曲の間にジョジョの奇妙な冒険の実写版の素晴らしさなどについても話したい!などと思っていたのですが、全く話せず。
収録はあっという間に終わり、久しぶりに毛利さんと会って色々話せて楽しかったな、という記憶だけが残っていますが、それ以来僕は「ラジオをやりたい」と漠然と思っています。ポッドキャストとか。
サウンド・アートとは何か? 中川克志さん(横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院准教授)を迎えて | RadiCro(レディクロ)インターネットラジオ放送局 https://www.radicro.com/.../radicro-tokyo/munpare/mori-2405/

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中川 克志 - 毛利嘉孝さんのネットラジオ『毛利嘉孝のアート・リパブリック』に出演してお話しさせてもらいました。2024/5/28(火... | Facebook https://www.facebook.com/katsushi.nakagawa.9/posts/pfbid0Vi47o2eYuEqGeY4SDSy6maR3xf2emhxn5TwpaHRepfKF3wq331VmC16E4oRYttQul

2024-05-16

UBUNTUでTverを見る方法

ubuntuのchromeではTverを見ることが出来ない。アプリを使えとか言われるけど何のことか分からないけど、研究室のubuntu (iMac)はメディア再生機として使っているので、Tver見れた方が、お弁当食べるときに便利。

そこで「ubuntu Tver」と検索してみたところ、 Chrome拡張機能のUser-Agent Switcher for Chromeを使ってuser-agentを偽装するとか出てくるけど、Firefoxなら見れた

これが一番楽。

2024-05-08

5月31日にKOIAS(神戸雰囲気学研究所)のアート・プロジェクトが開催するシンポジウムに登壇します。

KOIASアート・プロジェクト「thinking with the ears」というものがあり、そこが、ベルリンを拠点に活動するSam Auingerとkatrinemというアーティストを招聘し、神戸滞在制作を行ってもらうとのこと。それに伴って開催されるシンポジウムに登壇します。ふたりは別日(0504,0512,0525)にサウンドウォークも開催するそうです。

参考:real local 神戸【神戸】KOIASアート・プロジェクト#2 Thinking with the ears 神戸を歩く、神戸を聴く - reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【イベント】 


シンポジウムでは、sam + katrinemのパフォーマンスと、鈴木昭男さんと宮北弘美さんのパフォーマンスも行われます。

日時|2024年5月31日(金)14:00-18:00

会場|デザイン・クリエイティブセンター神戸 KIITO ホール(神戸市)

主催|神戸雰囲気学研究所

よろしくお願いします。


2024-04-11

自分への励みと促しとして、2023年度の仕事と2024年度の予定(願望)の備忘録

2023年度にはようやく単著を出せて嬉しかった。好評なご意見をいただいており、出せてよかった思ってます。なので、今後のことを考えるためにも、今年度の抱負は「色んな人に会って話をしよう」です。皆様、色々と相手してやってください。

とはいえ、それなりに計画はあり、今年度も90年代ジーベック調査を継続します。昨年の今頃も「サウンド・スタディーズの教科書は今年度中にみなさんから原稿を集めて2024年度には出したい。Keywords in Soundの翻訳は亀の歩みのように進めている。」と書いており、これも継続中のプロジェクトです。サウンド・スタディーズの「教科書」の本は、ようやく原稿が集まりつつあります。翻訳の下訳は終わりましたが、引き受けてもらえる出版社を再度探している段階です。あと、今年度はvisual musicとsoundwalkingのことを考える予定。

今年はどんな新しいことをできるかな。

以下、メモ。書誌情報に不備はあります。

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書いたものなど

中川克志 2023 『サウンド・アートとは何か――音と耳に関わる現代アートの四つの系譜――』 京都:ナカニシヤ出版。

(出版社による書籍紹介ページ: https://www.nakanishiya.co.jp/book/b10044931.html
:音響彫刻など視覚美術のことだけではなく、実験音楽などアヴァンギャルドな音楽のことだけでもなく、包括的に「サウンド・アート」について整理した唯一の本です。四つの領域におけるサウンド・アートの系譜を整理しました。それぞれ、音響彫刻小史、実験音楽としてのサウンド・アート小史、メディア・アートとしてのサウンド・アート小史、サウンド・インスタレーション小史として読めます。

中川克志 2024a 「<研究論文>音楽認識論序説 ジョン・ケージ以降の音と音楽の境界線をめぐって[1/2]」 『常盤台人間文化論叢』10:145–60. https://doi.org/10.18880/0002000350.
中川克志 2024b 「日本におけるサウンド・アートの系譜学:神戸ジーベックホール(1989-1999)をめぐって:その1――『Sound Arts』誌(1992-1998)の場合――」 『京都国立近代美術館研究論集 CROSS SECTIONS』11: 44-53。

福田貴成・中川克志・疋田雅章・広瀬正浩(司会) 2024 「座談会 「音」と文学――文学研究とサウンド・スタディーズとの対話――」 『昭和文学研究』88:2-23。 → J-STAGEで公開

学会発表

NAKAGAWA Katsushi. 2023. “History of Sound in the Arts in Japan: the case of "Onkyo-Chokoku" (meaning sound sculpture)” at the 22th International Congress of Aesthetics (Universidade Federal de Minas Gerais, Belo Hrizonte, Brazil), July, 25th, 2023. (English)

その他

SCHEDULE | fourth floor 《音楽、イベント、cafe、映画、アート、》
【在学生情報】酒井風・中川克志先生/『サウンド・アートと実験音楽の間』VOL.3-Between sound art and experimental music- - Y-GSC

参考:過去

I am alive.: 自分への励みと促しとして、2022年度の仕事と2023年度の予定(願望)の備忘録 https://after34.blogspot.com/2023/04/20222023.html
I am alive.: 自分への励みと促しとして、2021年度の仕事と2022年度の予定(願望)の備忘録 https://after34.blogspot.com/2022/04/20212022.html
I am alive.: 自分への励みと促しとして、2020年度の仕事と2021年度の予定(願望)の備忘録 https://after34.blogspot.com/2021/04/20202021.html
I am alive.: 自分への励みと促しとして、2019年度の仕事と2020年度の予定(願望)の備忘録 https://after34.blogspot.com/2020/07/20192020.html
I am alive.: 自分への励みと促しとして、2018年の仕事と2019年の予定(願望)の備忘録 https://after34.blogspot.com/2018/12/20182019.html

2024-03-22

つやちゃんさんに書評してもらいました

turntokyoというメディアプラットフォームで、「つやちゃん」さんに本をとりあげてもらいました(フィメールラッパー批評原論の方だ)。アカデミックにしっかり系譜学を書いていることと、注とか文の狭間とかに僕の見解をたくさん潜ませていることを、きっちり読み取ってもらえていて、とても、嬉しい。

【From My Bookshelf】Vol.22『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』中川克志(著)歴史を整理し系譜学を打ち立てた画期的な書 | TURN https://turntokyo.com/features/from-my-bookshelf-22/

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最後に宣伝させてください。

『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』が出ました。音響彫刻など視覚美術のことだけではなく、実験音楽などアヴァンギャルドな音楽のことだけでもなく、包括的に「サウンド・アート」について整理した唯一の本です。

四つの領域におけるサウンド・アートの系譜を整理しました。それぞれ、音響彫刻小史、実験音楽としてのサウンド・アート小史、メディア・アートとしてのサウンド・アート小史、サウンド・インスタレーション小史として読めます。この領域への解像度を高めてください。

サウンド・アート(音のある美術やアヴァンギャルドな音楽など)について語る語彙と概念が更新されるはずです。『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』が広く、長く、読まれますように。

サウンド・アートとは何か - 株式会社ナカニシヤ出版 https://www.nakanishiya.co.jp/book/b10044931.html

2024-03-20

メモ:ニーナ・サン・アイズハイム『声の人種[The Race of Sound]』、Jimmy Scott

いま、ジョナサン・スターンのある論文を翻訳するために、ニーナ・サン・アイズハイムという人の『声の人種[The Race of Sound]』という本を確認している。この本は、声を通じて人種を想定する行為がいかに文化的な営為であるかを、きちんとした理論的整備といくつかの事例分析を通じて検証しようとするものらしく、序文で提唱される〈声は単一的なものではなく集合的なものである、声は内的な発露ではなく文化的に規定される、声の源は発話者にではなく聴き手にある〉といった命題も魅力的で(どうやってこういうことを説得的に論じるのだろう?という知的好奇心を掻き立てる)、面白そうである。ヴォイス・スタディーズな人に噛み砕いて訳してもらいたいところ。

ともあれ、この本では、カルマン症候群にかかったので声変わりしなかったJimmy Scottという歌手のことが分析される。この歌手はスターンの論文でも人名が言及されていたのでapple musicで検索して聴いてみて、なるほどこんな感じね、と思っていた。で、今日またちょっとググってみたところ、この人はツイン・ピークス最終話のクーパーの夢世界みたいなところで歌っていたことを知った。

Jimmy Scott-Sycamore Trees (Twin Peaks) - YouTube

クーパーが若い!
数十年前に初めてこの歌う場面を見た時の記憶はもうないけど、確かに、この声が男声か女声かは、すぐには決定できないかもしれない(リンチなのだから、歌う演技をする男性の俳優に女性歌手の声を重ねる、という演出も十分あり得そうだし)。声の源の性別や人種を決定するのは発話者ではなく聴き手なのかもしれない。


アイズハイムの本はこちら。オープンアクセスがある。 Eidsheim, Nina Sun. 2018. The Race of Sound: Listening, Timbre, and Vocality in African American Music. Duke University Press. https://doi.org/10.1215/9780822372646. (オープンアクセス版はこちら:https://library.oapen.org/handle/20.500.12657/22281 こちらの出版年は2019年になるらしい。)

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最後に宣伝させてください。
『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』が出ました。音響彫刻など視覚美術のことだけではなく、実験音楽などアヴァンギャルドな音楽のことだけでもなく、包括的に「サウンド・アート」について整理した唯一の本です。
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サウンド・アートとは何か - 株式会社ナカニシヤ出版 https://www.nakanishiya.co.jp/book/b10044931.html

2024-03-07

メモ:Leonel Vásquez

 https://www.facebook.com/katsushi.nakagawa.9/posts/pfbid0ntfEGrRAKv2Hj5wvx6RXMB7VHAVWj25LXzu35b3ytEZM112cVFKA5P2DYD5wvfckl

Leonel Vásquezというコロンビアのアーティストさん。名前を覚えておくべし。
藤田クレアさんの貝殻の作品を思い出したが、音だけなら藤田クレアさんの作品の方が、かそやかで面白い。こちらはなんだか、リバーブが強すぎる(なぜリバーブ音が出ているのだろう???)(リバーブ音じゃないのか?!)。
ただし、Vásquezさんは他の作品も面白そう。まとめて作品を見たい。

→コメント:何言っているか全くわからないが、たぶんVásquezさんの個展なのではないか、と推測。|“Templo del agua: río Bogotá” de Leonel Vásquez - YouTube

→コメント:藤田クレアさんの作品はこちら。|InvisibleSoundscape - YouTube

→コメント:「かそやか」という言葉はないそうです。|かそやか - Google 検索 https://www.google.com/search...

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2024-02-22

メモ:『She's More Wild』(1981)

Sonic Arts Unionに関する文章を漁っていて、変な映像を見つけた。寿司屋さんのアニメーション(?)とデヴィッド・バーマンらしいグリッサンドするシンセサイザー。David Behrmanと(「Dion Casio」さんではなく) Paul DeMarinisさんが音楽を提供した1981年の「She's More Wild」というレコードがあり、2020年にその完全版(全曲収録盤)が発売されたらしい。これはその曲に付けられた映像ということか?

David Behrman, Dion Casio, Fern Friedman, Terri Hanlon, Anne Klingensmith - Japanese Disease - YouTube 


以下、YouTube動画の説明欄の(ChatGPTではなく中川による)要約。

1981年に、David Behrman, Paul DeMarinis, Fern Friedman, Terri Hanlon, and Anne Klingensmithがミルズ・カレッジで録音した『She's More Wild』というレコードがあるらしく、2020年に再販されたらしい。それまでは3トラックが収録された7インチで少数にしか流通していなかったので、今回のリリースで初めて完全版が販売されたらしい(She's More Wild... | David Behrman, Paul DeMarinis, Fern Friedman, Terri Hanlon, Anne Klingensmith | Black Truffle)。

歌詞?言葉?ナレーションを書いたのはFERN FRIEDMANとTERRI HANLONらしく、音はデヴィッド・バーマンとポール・デマリニス。で、その音が「a ‘pop’ formatに近づいている」という説明がなされている。バーマンのクラシック『On the Other Ocean』で聞くことのできる滑らかに周波数を変化させていく電子音や、デマリニスの『Songs Without Throats』で聞くことのできるSpeak n’ Spell(おもちゃのアレ)をハックした音だとかが、ポップだ、という説明の仕方。これに似たものはJacqueline Humbert & David RosenboomのDaytime Viewingくらいだろう、とのこと。



ということで、最後まで分からないのだが、この映像は誰が作ったのだ?

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2024-02-13

メモ『音の行方』


音遊びの会のドキュメンタリーを池袋(東京芸術劇場)でやっと見れた。

なんかむっちゃ良かった。僕のなかに溢れ出る多幸感。
なんつうか、偶然巡り会えた音楽家たちが、予想していなかったようなシナジー効果のおかげで、すごくカッコ良いし、カッコ良いかどうかあまり関係ないかもしれないというタイプの音楽を演奏してしまった、みたいなことだったのだろうか。これはThe Langley Schools Music ProjectとかThe Shaggsとかともまったく違う。公表してもしなくても良いけど公表した方が面白そうだし、子どもたちも楽しそうだ。こういう演奏カッコ良い!と思う人がたくさんいるからこそ、この演奏はカッコ良い、というところもあるので、こういう即興演奏を認める人が少なかった時代には、こういう演奏はどう思われることになっていたのだろうか。「アール・ブリュット」とか呼ばれるしかなかったのだろうか。いやまあ、今でも「即興演奏」が一般的に高く認知評価されてるわけでもないだろうけど。
何か楽器を衝動買いして帰ろう!と思って池袋駅周辺をウロウロしたけど、幸い楽器屋を見つけられなかったので、楽器は買わずに帰宅中。
ともあれやはり、考えずにいられないのは、誰がどんな感じで、彼らの演奏会場や楽器を手配し、セッティングし、片付けているのだろうか、ということである。ドラムセットだけで2,3台あるようにも見えたけど。
電子ドラム買おうかな…。

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2024-01-12

メモ:「サンゴは森の夢をみる」@ 座・高円寺

台湾のヤニク・ダビさん(Yannick Daubyさん)の絡む展覧会とのことで、早稲田の帰りに高円寺に立ち寄った。(その死体を見ることの方が多い)サンゴは(台湾の山に住んでた方が一旦街に出た後に山に戻って生活しているらしい)山の夢をみるとは、なんとステキなタイトル。録音だけではなく、ここに行って、周りの音に耳を澄ませてみたい。ヤニクさんの録音は臨場感が高いような気がする。気持ち良いテッポウウオの音。

ということで、1600過ぎに高円寺から横浜に戻ろうとしているのだけど、この時間もう混んでる。小学生とか高校生がいっぱい電車に乗ってるんだなあ。

https://za-koenji.jp/detail/index.php?id=3070


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最後に宣伝させてください。

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四つの領域におけるサウンド・アートの系譜を整理しました。それぞれ、音響彫刻小史、実験音楽としてのサウンド・アート小史、メディア・アートとしてのサウンド・アート小史、サウンド・インスタレーション小史として読めます。この領域への解像度を高めてください。

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サウンド・アートとは何か - 株式会社ナカニシヤ出版 https://www.nakanishiya.co.jp/book/b10044931.html

2024-01-01

明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます

2023年は横浜で初めて車を入手したり久しぶりの海外出張がとても刺激的で楽しかったり娘がとうとうランドセルを入手したり、色々ありました。日々何かあるのは嬉しいことです。

何より、2023年12月に単著『サウンド・アートとは何か――音と耳に関わる現代アートの四つの系譜――』(ナカニシヤ出版、2023年)が出版されました。

https://www.nakanishiya.co.jp/book/b10044931.html

音響芸術やサウンド・インスタレーションなど視覚美術のことだけではなく、実験音楽や音響派などアヴァンギャルドな音楽のことだけでもなく、包括的に「サウンド・アート」なる対象について整理した唯一の本だと思います。広く、長く、読まれますように。

基礎的で基本的な事項を整理することで、次の新しく面白い何かにつながるに違いない、と思っています。そういう方面に僕のこの仕事は役立つことでしょう。どうぞ、広く皆さま、お手にとって読んでみてください。

(個人的には2回目の博士論文みたいな気持ちで作成しましたが、まあそれは書き手の僕の事情です。)


ということで、皆様、今年もよろしくお願いします。
2024年度はもっと色々な場所に出かけて、色々な人とお話していこう、と思っています。

2023-12-28

メモ:多井学『大学教授こそこそ日記』

 

すべての話題が思い当たる。切ない。20年以上前の鷲田小彌太『大学教授になる方法』(PHP文庫)がKindle Unlimitedで読めたので読んでみたけど、こちらは、大学教授極楽時代の代物で、ジェネレーションギャップが大きすぎて、それもまた切ない。

2023-12-22

メモ:坂本龍一展@ICC

坂本龍一展@ICC 今日の早稲田で年内授業最後。横浜に帰る前にICCの坂本龍一展を見る。お客さん多し。金曜夜だし坂本龍一だし。ICCの展示室のあの階段上がったところの右側の部屋を三分割しただけのスペースなのに、なんともゴージャスな展示だった。 「サウンド・インスタレーションという表現形態を用いること」の意義をどう考えれば良いかは分からない。坂本龍一の音楽の素晴らしさが際立つというか何というか。この音楽の素晴らしさに相応する程のあり方でサウンド・インスタレーションという形態を立ち上げることができたら、ものすごいことになっんじゃないか、あと数年時間があれば、など。 年末年始1週間の関西帰省までに、何をどこまでできるだろうか。

2023-12-19

メモ:村田沙耶香『コンビニ人間』

紙で持ってたのだけど、Kindle UnlimitedにあったのでKindleで読んだら、チョー面白かった。びっくりした。マンガ「阿武ノーマル」の人物造形の源泉はここにあったのか?!


2023-12-16

ChatGPT4を使う

Grammarlyの方が確かに専用ツールとして使いやすいけど、僕が使う程度なら、性能的にはChatGDP4で十分な気もする。解約しよう(解約しても残金返金とかないので、自動更新を止めよう)。

:Track Change GPTのご紹介 https://eibun-hikaku.net/topics/track_change_gpt.html

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中川 克志 - ChatGPT4にリンクを渡して「訳して」と伝えると、訳してくれなかったけど、以下の紹介文を作成してくれた。内容的には... | Facebook 


2023-12-10

ネトフリで映画『ミナリ』(2020)

帰りの新幹線で、午前のワークショップで名前を聞いた、韓国移民のイメージが変わりつつある映画の例らしい『ミナリ』。ネトフリで。  

移民が田舎で農家始めるなんて、ちょーたいへん、という映画。ところどころポール・トーマス・アンダーソンを思い出すショットがあり、美しい。自然も美しい。子役が可愛い。生活していくって大変。日々の暮らしってたいへん。
「日本には移民が少ない」ので、日本の農協とのやりとりはどうなるのだろう、という方向への想像力は、なかなか働かない。リアリティが無さ過ぎて。筒井康隆的な物語としてしか想像できない。

2023-12-03

メモ:松沢裕作『生きづらい明治社会』(岩波ジュニア新書、2018年)

語り口がとても平易で分かり易い。

景気変動する明治期社会において、小さな政府のもとで貧困階層や都市下層社会がどのような規制と倫理(あるいは「通俗道徳」)に絡み取られて生きていたか、を描いている(なので、当然、例えば明治期における近代洋楽受容の問題とか文学の話とかは、ない)。

話題の選別も含めて、とても良いジュニア新書。僕もこのように語りたい。

生きづらい明治社会――不安と競争の時代 (岩波ジュニア新書) | 松沢 裕作 |本 | 通販 | Amazon 

2023-12-01

メモ:梅田哲也「待ってここ好きなとこなんだ」@ワタリウム美術館

梅田哲也「待ってここ好きなとこなんだ」@ワタリウム美術館www.watarium.co.jp/jp/exhibition/202312/

ワタリウム美術館全体を使って組み上げられたツアーは熟練した才能の煌めきを感じさせるもので、若いスタッフも良い感じのチームで、ワタリウムを母艦にどこかに船出するみたいな感覚になってドキドキした。良いものだった。
ネタバレを避けつつ感想を書くのは難しいけど、最後、戻ってくると、タバコを吸ってダラダラ溜まっているみなさんの間を通り抜けなければいけない、というのは、ちょっといただけないのではないか。何とも良い感じに現実と見立ての異界の狭間を感じながら歩いていたら、建物の入り口に溜まっていたひとたちに「良かったでしょ」と言われて面食らうのは僕だけじゃないのでは。喫煙所は別のところにしたら良いのではないかしら。
(長沼さんには会えませんでした。後期も行くので、縁があればその時に。)

メモ:柏野牧夫『空耳の科学』(ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス、2012年)

空耳の科学~だまされる耳、聞き分ける脳~ | 柏野 牧夫 |本 | 通販 | Amazon 

早稲田通勤行きの一時間強で点検読書。とはいえ、前に読んで新書とはずいぶん印象が違う(I am alive.: メモ:大黒達也『音楽する脳 天才たちの創造性と超絶技巧の科学』(朝日新書、2022年) )。文化的あるいは人文学的な事象に、変に踏み込んでいないからだと思う。

聴覚の生理学の現在(2012年)について高校生に語った講義録。数学的内容は飛ばしたけど、面白かった。高校生としてこの講義を受けたら刺激的だったろうなあ。

この内容を僕は自分の研究にどう活かせるだろうか。


2023-11-26

メモ:小林元喜『さよなら、野口健』(集英社インターナショナル、2022年)

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ここ1、2年「ソロキャンプ(の準備をするだけでまだ行ったことは無い)」という趣味を持っていたのだけど、最近さらに「登山(したいなと思うだけで特に準備は始めていない)」という趣味も始めたので、娘が図書館でゾロリをたくさん借りる時に、僕も登山の本を何冊か借りて、昔何かの書評で読んで名前だけ覚えていた『さよなら、野口健』という本を読んだ。とても面白く一気読みした。なんとも痛切な本だった。これは人物ルポなのだけど、人物ルポとしてのみ面白いというわけではなく、なんとも説明にしにくい本だった。

野口健という人のことはあまり知らず、エベレストに登ったりするけど登山家として超絶技巧の持ち主では無いらしいとか、ネパールの10代の女の子と結婚しようとしていたとか、猫を空気銃で撃っていたとかそういうことがSNS上で言われていたことを知っていただけだった。読後、登山家としてすごいというよりも、登山するという行為を通じて色々な劇場型イベント(テレビ放送とか全国各地で講演活動するとか登頂ではなく清掃を目的とするエベレスト登山をするとか)を巻き起こすことがすごい人である、ということは本当らしい、と思った。だたし、後の二つはちゃんとした経緯と理由のあるエピソードだったので、SNSでは断片的に炎上しただけだというと思った。あと、政治家として出馬するかもしれないくらいのところまでいたけど、出馬はしていないということも知った。全体的にも、五カ国のルーツを持つ野口健という人がどういう少年時代を過ごして、アルピニストでは無いのに「山登りすること」を自分の人生のツール(?)に使うようになっていったかを丁寧に説明しているので、この本は、野口健の半世紀とその裏側(の暴露)みたいなものとして読める。人物ルポってやつである。

のだけど、時々、この小林という人が、どのように野口健に惹きつけられつつも反発し、野口健のマネージャーをやったり辞めたりを何度か繰り返したり、自分がうつ状態になって入院したり、といったことも書かれる。

野口健という人が登山という行為を(悪い言い方をすれば)ある種の売名行為のようなものとして利用しつつこの世の中で「何か」をするための原動力として利用している、という点は、おそらく唯一無二なのかもしれないので、人物ルポとしてこの本は面白い。だとすれば、時々入ってくるこの小林元喜さんのエピソードは邪魔でしか無い。だけど、この本の面白さは、この小林元喜さんがそのように自分のエピソードを入れる必要があったこと、そのことが感じられること、にある。

たぶん、野口健とこの小林元喜という二人の関係性は稀有なものというほどではなく、独立独歩で周囲を巻き込みつつ生きていく人とその周囲にいる人との間の相互依存関係、とでも言えるものだと思う。自分の夢を託すというほどでは無いにしても、エネルギー溢れる魅力的な人物と一緒に仕事することはそれなりに面白いし、エネルギー溢れる魅力的な人物は、やたら神経質でパワハラ気質だったりもすることはよくある。そんな時、エネルギー溢れる魅力的な人物の周囲にいる人は、病んでいく。みたいな。

そういう関係性は身の回りに結構たくさんあるし、そんな関係性に巻き込まれていても人はそれなりに自分の世界を確保してうまいこと生きていったり、あるいは、そこから離脱して別の場所を求めたりするものだと思うけど、小林元喜さんは、鬱とかで精神病院に入院したり、他の仕事に就いたりした後に、さらに、「野口健について丁寧に書く」ということをする必要があったらしい。そのこと自体がなんとも痛切だった。「あとがき」の最後で野口に感謝するくだりに感動。




2023-11-03

メモ:村上龍『イン ザ・ミソスープ』

 


娘が体調を崩し一日、家で過ごす。何かあったらすぐ動けるよう、気楽(?)に読めそうな本としてこれを読む。ブックオフで買って積読してあったらしい。たぶん未読。1996年の年末が舞台(キッズ・リターン公開の年)。あとがきによれば、連載中に神戸連続児童殺傷事件(1997年)があった。

色々と懐かしかった。アメリカ人用の東京のナイトライフガイドブックには日本で食事すると何でも高いと書いてある、という記述があり、そういや90年代はまだそういう感覚だったことを思い出したり。00年代半ばまでそんな感じではなかっただろうか。あと、この頃の村上春樹は、海外と比較して日本の卑小さとか俗物性についてチクリと述べるタイプの芸(あるいは批評)が魅力の一つだったこととか、人間の感情の機微に関する描写が上手かったこと(「悪意は、寂しさや悲しさや怒りといったネガティヴな感情から生まれる。何か大切なものを奪われたという、からだをナイフで本当に削り取られたような、自分の中にできた空洞から悪意は生まれる。」(127)といったタイプの文章)などを思い出した。高校生の頃はこれがとても魅力的で、坂本龍一との対談(『EV. café: 超進化論』)も線を引きながら熱心に読んだものだった。今読み直すと、(鋭い文化批評だ!とかはもちろん思わないのだけど)こんな批評みたいな記述が受けていた時代があったなあ(そして僕も真剣に受け止めていたなあ)と思って、なんとも懐かしい。
ああいうのは80年代文化の産物だけど、1975年生まれの和歌山の高校生には、90年代になって文庫化されてから届いたのだった。まだネットのなかった時代で、岩波文庫が売っている本屋さんは和歌山市には2つしか無く、『CUT』が創刊された頃の話。ああ、懐かしい。
村上龍も北杜夫や井上ひさしや井上靖みたいな感じなのかもしれない。でも、先月大学のゼミで、村上龍『69』を読んだことがありあれは面白かったと学生が言っていたので、まだ、すっかり忘れ去られているという感じではないのだろう。存命だし。そういや最近新作出してたし。

2023-11-01

ジョン・ケージの絵本『Beautiful Noise: The Music of John Cage』

 Amazon | Beautiful Noise: The Music of John Cage | Rogers, Lisa, Na, Il Sung | Music https://www.amazon.co.jp/-/en/Lisa-Rogers/dp/0593646622

Lisa Rogers, Il Sung Na. 2023. Beautiful Noise: The Music of John Cage
ジョン・ケージの絵本。Beautiful Noise到着。どんな音でも音楽として聞いてみてごらん、そしたら、あなたはケージみたいだね、という絵本。
音楽じゃない音はどうなんだ?という立場もあるので、〈この円本はmusicalizationな操作を世界に施すことを良しとする考え方だ〉と判定できるけれど、まあそういうことは別として、キレイな絵だから、子どもがケージという人がいたらしいと知るためには、良いのかもしれない。
偶然性という言葉が出てこなかった気もする。


2023-10-27

メモ:大黒達也『音楽する脳 天才たちの創造性と超絶技巧の科学』(朝日新書、2022年)


 早稲田出勤時に、早稲田に着くまでに点検読書。1時間15分。共感覚と音楽療法への記述を利用すべし。

この「科学」と僕とは話が通じないのはなぜだろう。この科学はトンデモ科学とかでは全く無くて、世界でも最先端の科学なのだけど、ここで語られる「音楽」や「芸術」について、全く共感できない。
ううむ。

2023-10-21

メモ:Kindle Unlimitedで阮光民(ルアン・グアンミン)『用九商店』(沢井メグ訳)

 そのうち購入する本のリストに入れていたら、Kindle Unlimitedに入っていた。ありがたく拝読。

これが台湾のリアルかどうかは分からないが、リアルじゃなくてファンタジーとして、とても良かった。コマ割りの妙も堪能した。

Uターンした田舎で、大規模ショッピングモールにもやられず、よろず屋さんやりながら地元の仲間と幸せに生きていけるなんて、ファンタジーとしか思えない。生計たつのかな? 車の維持費出るのかな? 田舎に生きていて飽きないのかな? 保険とか入ってるのかな? 子どもが大学に行きたくなったら通わせてあげられるのかな? Amazon使わないのかな? ネトフリ見ないのかな? 墓仕舞いしたくないのかな? 現実では心配事は尽きないものだが。

ーーーーー

沢井 メグ

漫画が伝える台湾のリアル : 台湾漫画『用九商店』を翻訳して感じたこと

2022.07.30

https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g02164/


2023-10-20

メモ:片岡純也+岩竹理恵「やじろぐ枝」

 会期 2023年7月6日[木]〜10月29日[日]

場所 横濱ゲートタワー・スタートギャラリー 2+4

ストーンズの新譜は、早稲田非常勤の帰りに、横浜駅からみなとみらいに行く途中のギャラリーの片岡純也+岩竹理恵「やじろぐ枝」を見ながら、聞きました。

この人たちの作品は、ゆらありゆらりな様々な力学のふらつく様子が、とにかくステキ。

ただ、前に見た新高島駅のBankARTではなく、でかいビルの一階の、道端から眺めるショーウィンドウに飾られていたので、あまりゆっくり堪能する感じではなかったです。残念。

横浜に住み始めて十年以上経ったけど、みなとみらいのあの辺って、すごいお金が動いてそうな場所だったんですね。初めて歩いた。実際にお金が動いてるのかどうかは知らないけど。横浜って、東京のどこかの街くらいには都会なんだなあ、たぶん、と思いました。

ストーンズは、僕が言うことはとくになし。みなさんの感想とか大喜利待ちですね。今の10代とか20代が聞いたらどう思うのか、を知りたいところ。「おじいちゃんの音楽」ってことは、僕が浪曲の広沢虎造を聴いて「かっちょいい」と思ったみたいな感じになったりするのかな?

メモ:オフショア第3号

 早稲田への出勤中に読了。特に有名でない人のインタビューが面白いので、僕は、これを読み続けていることに気づく。

オフショア第三号 発売のおしらせ | オフショア https://offshore-mcc.net/news/1405/

2023-10-13

メモ:野口悠紀雄『2040年の日本』


世界における日本の存在感は激低下する、医療と介護業界の存在感だけが目立つ、自動運転車が増えて自家用車が激減する、など。

2040年に退職する時に答え合わせしよう。

2023-10-06

メモ:ICCでのevala作品

先週金曜日、ICCでevalaさんの作品を体験。完璧な暗闇のなかで、完璧に構築された高音質な音響物をひたすら集中して聴取する経験。目を開けても閉じても何も見えない場所で、しかし、これほど高解像度の音を聞くと、目が見えなくても世界に関する情報は十分得ることができるのではないか、と勘違いしそうになった。

もちろん実際には、晴眼者だった人間が、文字や記号が読めなかったり身振り手振りなど音声ではない非言語情報がなかったりするとずいぶんと不便だと思うが、そのことを一瞬忘れてしまうくらい情報供給量が十分だと感じてしまう。なので、「耳で視ている」ように感じてしまう。
おそらく「耳で視る」というのは「耳を通じて明瞭に空間を認識する」という経験に近いのだろう。
この逆に「目で聞く/聴く」というのは、実はよくある。マンガのオノマトペとか楽譜とか言語とか、視覚的情報を通じて頭の中に色々な音を喚起する、というのが、それだと思う。耳で聞いた音を通じて視覚的に何かを知覚する経験、というのは、僕にはあまり経験がないが、どうだろう。
シナスタジア保持者で、例えば「サウンド・カラー共感覚(sound-color synesthesia:色聴)」保持者は、聞こえた音に色が付いて聞こえるらしく、高い音ほど明るい色に見える傾向があるらしいが。
今回のevala5作品は、
1:フィールド・レコーディングされた音源から仮想の音響空間を作るもの
2:鈴木昭男による音具の演奏を仮想の音響空間に構成したもの
のふたつに分かれるらしい。
雪を踏みしめている音が自分の頭の周りを回っているように聞こえる部分があり、その音量が大きくなると、自分が小さくなる/巨人が周りを歩いている、みたいな感覚になった。こういうのは、自宅で何度も繰り返し聴き込んでみたい。なんとかならないものか。
また、鈴木昭男さんの演奏は、その場に立ち会って体験することこそが面白いと感じてきたので、その演奏の録音物を再構成してこんなに面白くなるとは、驚いた。まるで昭男さんの演奏の真横にくっついて聞き耳を立てているかのような気にもなった。
ICCの無響室はこの狭さが良い。Nokia Bell Labsの無響室だとこうはいかない。
ICC | 《大きな耳をもったキツネ》 - evala (2013–14) https://www.ntticc.or.jp/.../works/otocyon-megalotis-2023/

2023-09-21

メモ:‎Emeka Ogboh『6°30′33.372″N 3°22′0.66″E』

‎Emeka Ogbohの「6°30′33.372″N 3°22′0.66″E」をApple Musicで https://music.apple.com/jp/album/6-30-33-372-n-3-22-0-66-e/1632208199

Emeka Ogboh。フィールドレコーディングに音楽をつけた作品。My Life in the Bush of Ghostを思い出す。他のアルバムはかっこいいリズムトラックのハイブリッドという印象。


ナイジェリアのラゴス生まれベルリンで活動中のアーティストとのこと。ベルリン移住後に故郷で録音したフィールドレコーディングに音楽をつけるようになったとのこと。サウンド・インスタレーションの制作経験はあったが、エレクトロミュージック制作のコースでAbleton Liveの使い方を学んでから作ったらしい。


Emeka Ogboh:都市は作曲家である | Ableton https://www.ableton.com/ja/blog/emeka-ogboh-the-city-is-the-composer/



そういや、この前初めて、My Life... にはインスパイア元の小説(?)があることを知った。 | ブッシュ・オブ・ゴースツ (ちくま文庫) | エイモス チュツオーラ, 福夫, 橋本 |本 | 通販 | Amazon

2023-08-22

メモ:北雄介『街歩きと都市の様相』(京都大学学術出版会、2023年)

soundwalking について考えるヒントとして入手。活きの良い若手研究者の研究書で、野心がでかくて、刺激的だった。街歩きという体験の全体性を解明したいという志に感心。
自由記述分析の詳細は不勉強な僕にはよく理解できなかったのだけど、街歩きしながらその体験を記述してその全体性を分析するために色々と実験手法を工夫していくところに興味を惹かれた。地図をオノマトペで記述するという研究方法があるのだけど、それも単なる思いつきで「なんとなく面白そうだから」という理由しかないのではなく、都市の多様なレイヤーのいくつかに焦点を合わせたり体験の記述の焦点を絞ったりするために、という方法論的な裏付けのある選択である(と記述できる)のも素晴らしい。当たり前なのかもしれないが、そういう方法論的な準備がしっかりしているのが勉強になった。
横国の学内でsoundwalkingを企画してみたいと思っているので、ご指導してもらえないものか。どこかでお話できる機会ないかな。


ところで。
この人、僕に似ている気がする。この人のほうが若いし、ヒゲもスッキリ整えているけど。
そういう意味でも一回お会いしてみたい。

ということはつまり、僕たちはふたりとも、トンツカタンのあまり喋らない人に似ている、ということである。
トンツカタン 櫻田(@tontsuka_tasuku)さんの返信があるツイート / X https://twitter.com/tontsuka_tasuku/with_replies

2023-08-12

メモ: 市川沙央『ハンチバック』

Amazon.co.jp: ハンチバック (文春e-book) 電子書籍: 市川 沙央: Kindleストア 

強烈な短編小説だった。時折溢れ出る作者の攻撃的な心情が本当に素晴らしい。「攻撃的」と評して良いかどうかためらうところではあるが、自虐的ではない。

小説のなかで展開される虚構は、主人公である身体障害者(あるいは作者)が夢想する理想、幻想、あるいは悪夢なのかもしれず、現実と虚構の重ね合わせとズレは小説の醍醐味のひとつなので、もう少し明解あるいは重層的にはできなかったのかと思いもするが、他の重度障害者から色々な同意や反発を惹起するだろうと思えば、それはなかなか良いことなのかもしれない、と思ったり。

2023-08-02

メモ:エリオ・オイチシカ(Hélio Oiticica, 1937-1980)について

 今回のICA22 (2023)のWed 3:30 pm – 4:30 pmに、知り合ったミゲル(MIGUEL DUARTE)が発表したパネルでは、3人ともHélio Oiticicaというアーティストについて発表していた。


MIGUEL DUARTE | BRAZIL
After the End of Art History, is Time for Art Geography?: Helio Oiticica, Paulo Nazareth and the Geopolitics of Contemporary Art
MIGUEL GALLY (moderator) | BRAZIL UNB – University of Brasilia
Hélio Oiticica, Space, and the Collective Genius
PAULA BRAGA | BRAZIL UFABC – Federal University of ABC
Hélio Oiticica as a Brazilian Scene of Rancière’s Aesthetic Regime of Art

不勉強で知らなかったのだが、エリオ・オイチシカという人はブラジル現代アートにとってとても重要な存在。
Hélio Oiticica – Wikipédia, a enciclopédia livre https://pt.wikipedia.org/wiki/H%C3%A9lio_Oiticica

50年代に活動を始め60年代に世界的に有名になり1970年にはNYに移住したり。おそらく日本でも有名なのは、このひとの作品をきっかけに「Tropicalismo」運動が命名されたこと、ではないか。

カエターノは、1968年に発表したアルバム『アレグリア・アレグリア』(原題:Caetano Veloso)に、「Tropicália」という自作曲を収録。同曲は、撮影監督のルイス・カルロス・バヘットLuiz Carlos Barreto)が、エリオ・オイチシカHélio Oiticica)によるインスタレーション作品「Tropicália」に着想を得て、カエターノに進言したことからタイトルが決まり[1]、最終的にはムーヴメント自体を指す呼称となる。カエターノは、当時の自分にインスピレーションを与えた作品として、1967年公開の映画『狂乱の大地』(原題:Terra em Transe、監督:グラウベル・ローシャ)を挙げている[1]
とのこと。
Miguelから、ブラジルにはフルクサス第2世代しかいないんだとか、オイチシカはローリング・ストーンズを好きだったようだ、とか、Tropicáliaという音楽を知ってるか、とか聞いて、そのときにはなんだかあまり分からなかったのだけど、とりあえずApple Musicで「トロピカリア ベスト」というプレイリストを再生しています。


オイチシカに関する日本語のリソースを探したが、一般書レベルでは見つけられず。研究論文は多少あった(少ししかなかった)。
なので、とりあえず「居村匠」と「山野井千晶」と「飯沼洋子」いう名前を覚えておくべし。どなたも(たぶん)面識はないけど、どなたも美学会や表象文化論学会で活動しているみたいなので、どこかでお会いすることもあるだろう。今回のブラジルでの国際美学会には参加していなかった。ブラジル、高いし遠いしね。

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2022年7月3日パネル6 近現代ブラジルにおける芸術と「遊び」の精神 | 第16回大会 | Conventions | 表象文化論学会 https://www.repre.org/conventions/16/panel6/

居村 匠 (Takumi IMURA) - マイポータル - researchmap https://researchmap.jp/imuratakumi
居村 匠 (Takumi IMURA) - エリオ・オイチシカ《トロピカリア》における 侵襲性と〈食人の思想〉 - 論文 - researchmap https://researchmap.jp/imuratakumi/published_papers/19583985?lang=ja

山野井千晶さんはresearchmapが見つからず。

飯沼 洋子 (YOKO IINUMA) - マイポータル - researchmap https://researchmap.jp/yokoiinuma
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なんかみんなすごいなあ(と他人事のように言ってみる)。
(あまりおっさんが若者に「すごいすごい」と言うのもパワハラっぽくなるらしい。と若者から注意された。難しいもんである。)
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当日中の付記
2008-2009年の東京都現代美術館の展覧会の存在が大きそう。